エジプト

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23rd (Sun)
May 2010

[day64] 中東の洗礼

中東の洗礼カイロに着いてまず驚いたのは異常なまでの車の多さです。エジプトというと、砂漠の中にピラミッドがあってその前をラクダが歩いているようなイメージしかなかったのですが、それが全くの勘違いだと気付いたのは空港から宿へと向かうタクシーの中。大渋滞の中の車たちは車線などという存在は完全に無視。各々がクラクションを鳴り響かせながら、割り込みを繰り返し、なんとか少しでも前に出ようと自分勝手に進んでいきます。「ゆずりあいありがとう」という言葉を彼らに教えてあげたい。とにかく自分だけがひたすら前に進もうとするので交通は常に大混乱しているように見えました。

ちなみに、カイロ市街には信号機というものは殆ど見当たりません。いや、実際、要所要所にはあるのですが、ライトが置いてあるだけでは誰も守ろうとしないので、警官が実際に路上に立って交通整理をしています。でも、それは本当にごく一部だけで、他のところはその場の流れに任せて前進あるのみ。そして、それは歩行者にも同様で、幹線道路を渡りたい場合は、勇気を持って車道に足を踏み入れ一気に駆け抜けなくてはいけないのです。モタモタしていると横から何台もの車がクラクションを響かせながら突進してきます。いや、冗談抜きで。でも、そんな状況でも現地の人は例えお年寄りであろうとも、車の切れ目をウマいこと見つけて何事もなかったかのように車道を普通に渡っているんです。そして飄々と車道を渡っていく彼らを観察しているうちに、段々とコツみたいなものがわかってきました。

それは、とにかく遅い車を見つけること。実は今にも壊れそうなポンコツ車や、ギュウギュウ詰めの小型バスも普通の乗用車にまぎれてよく走っています。そして、やつらは明らかに他の車よりも遅い。その一瞬の隙を見逃さず思い切りよく飛び出せば、車に轢かれることなく無事に車道を渡ることができるのです。なんだかちょっとしたゲームみたいですね。慣れると意外と簡単に渡れるようになりますよ。ただ、あとで先進国に行ったときにもやってしまいそうで怖いですが。

中東の洗礼車が多いということは大気汚染も酷いということ。東京のど真ん中で暮らしていた僕が、「こりゃ敵わん」と思った場所はこの旅でもここが初めてです。カイロの中心地を大体2時間くらい散歩すると、喉が痛くなり目眩までしてくるようになりました。そして、シャワーの際のシャンプーの泡立ちが悪いことこの上ない。黒煙をまき散らす車が街中を埋め尽くしているのですから当然ですね。先進諸国の皆さんは、雑巾を絞るように自国の排気ガス規制なんてことをしないで、むしろこういった国に投資をした方が地球環境的には優しいのではないんですかね。まぁ、利害関係抜きで国際的に環境問題に取り組むのは難しいのかもしれませんが。

車と同時に大変だったのは人のウザさ。エジプトはインド、モロッコと並んで「世界三大ウザい国」のひとつに入ると、日本人の旅人から評される国です。比較的おとなしいと言われるカイロの中心地でも、街をただ散歩しているだけで何人もの客引きに進行方向を塞がれ、「何を探している?僕は君の友達だからどこでも連れて行ってあげるよ」って、彼らは目を一瞬合わせただけで友達になるのでしょうか?そういえば、道端を歩いていて、「君、エジプト人?現地の人に見えたよ、何してるの?」と親しげに声をかけてきた輩もいました。なんか、どこかで聞いたことのある手口だこと。

あとは、何をするにもチップの要求の嵐。「チップは無いの?」みたいに笑顔で言ってきますけど目はかなり真剣。空港から宿へは深夜の到着だったこともあり、ピックアップサービスをアレンジしてもらっていたのですが、善意で僅かながらドライバーにチップをあげてみたら「少ない、ここまでのガス代だけでもいくらかかってると思うんだ!」と怒られる始末。チップが少ないと怒られたことなんて今まで一度もないですよ。ってか、ガス代はチップじゃなくて宿から支払われる正規の料金内に含まれるべきでしょ。

いや、エジプト人みんなが嫌なやつというわけではなく、大部分のローカルの人たちはいい人が多いのです。観光産業に携わる人たちに関してはある意味観光客から少しでも多くお金を巻き上げることが仕事なんですよね。だからとりあえずボッタクリ価格を提示するのも当たり前。常識、良識なんてものは生まれ育った環境によってこうも変わってしまうものなのかと。なんだか、タフなところに来てしまったようですねぇ。

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