ひとりごと

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16th (Tue)
Nov 2010

[day147] 聖地エルサレム

聖地エルサレムテルアビブから直通バスで1時間くらい揺られると、エルサレムの巨大なバスターミナルに到着です。そこからローカルバスに乗り継ぎ、色々な人からお勧めされていたPalm Hostelへ。ここはアラブ系の人が経営している安宿で一泊50ILS(1300円弱)はエルサレムではかなりの格安レベル。おかげで世界中からバックパッカーが集まってきているようで、当時は韓国人とドイツ人がマジョリティ。オーナーさんによると日本人もよくくるけど、今はシーズンじゃないだろ(当時5月半ば)とのこと。はい、よくご存じのようで。

聖地エルサレム宿の前には旧市街の主要な入口のひとつであるダマスカス門があり、そこを抜けるとエルサレム旧市街のイスラム教エリアが広がっています。店先に並ぶ新鮮な野菜と果物、色とりどりの香辛料、わけのわからない電化製品…、規模こそ少し違いますが、ひと月くらい前に旅をしてきたアンマンやダマスカスを思い出し、不思議と懐かしい気持ちになってしまいました。

聖地エルサレムしばらく歩いていると、マシンガンを携えた軍人さんが管理しているセキュリティーゲートが目の前に現れました。飛行機の搭乗前よろしく荷物をX線の機械に通してゲートを越えると広場のようなところに到着。髭を伸ばし真っ白なシャツと黒いスーツにシルクハットというまさに正装のユダヤ人たちが巨大な壁に向かって頭を垂れています。そう、ここが彼の有名な「嘆きの壁」。

紀元前にダビデ王が築き上げ栄華を極めたという古代イスラエル王国。中でも神の玉座へと通じているとまで言われたエルサレム神殿の外壁跡がここ。その後、ローマ人の侵略によって破壊され、以来2000年以上もの間、世界中に離散したユダヤ人たちはこの悲劇を嘆き、王国の再建を祈り続けてきたとか。この日も一般の観光客が遠巻きに見学している中、多くのユダヤ人たちが壁に向かって祈りをささげていました。一応、外国人向けのエリアもあり、観光客も祈りの真似ごとをすることは許可されているのですが、あまりにもユダヤ人の皆さんが真剣に祈っているため、僕自身はずかずかと土足で入っていく気にはならず。

聖地エルサレムそしてその壁を見上げると、その奥には世界最古のイスラム建築、岩のドームが鎮座しています。イスラム教徒にとってもエルサレムは三大聖地のひとつ。創始者のムハメッドが天を昇り一夜にしてメッカからエルサレムに飛んだ体験をしたと言われています。残念なことにイスラム教徒以外はエリアそのものに立ち入り禁止になっていたのですが、丘の上から眺めると金色のドームが良く見えます。

更に散歩を続けると、キリストが磔にされたゴルゴダの丘に建てられたという聖墳墓教会が。聖地であるこの地を奪取するために中世キリスト教諸国が十字軍を派兵した話は学生時代に世界史の授業でやったような気が…。当日もどこかの教会のベルが鳴り響く中、キリスト教の団体のツアー客が聖歌を歌いながら教会の周りを歩いていました。

聖地エルサレム宿を出てからこの散歩コースを歩くのに僅か2時間。立ち止まらずに歩き続ければ1時間もかからない範囲の中にアブラハムの宗教と呼ばれる3大宗教の唯一とも言える聖地があるのです。街中を歩いているとマシンガンを持った軍人さんがそこら中を闊歩していて、この街が世界中の民族問題の争点となっていることがひしひしと伝わってきました。まぁ、皮肉なことに強盗などの軽犯罪の不安は彼らのおかげで全くありませんでしたけど。さすがにマシンガンを持った人の前で人にナイフを突き付けるようなバカはいないでしょうし。

それにしても宗教って難しいですよね。これはオーストラリア留学時代から感じていたことなのですが、人間って似た者どうしで固まる習性がすごく強い動物だなぁと思います。家族、国籍、性別、出身校、人種、趣味、好きな歌手etc、 誰かが自分と似たような属性を持っていれば仲間として認識し親近感が湧いてくる。一方で反対の属性を持っている人に対しては排他的傾向になりやすい。宗教なんてその最たるもので、同じ教義を共有していれば国籍すらも飛び越えて仲間になれるのに、自分の宗教だけが正しいと信じていると他の宗教に対しては徹底的に攻撃的になってしまう。

そして、このエルサレムには自分たちの神こそ唯一の神だと信じている宗教が三つも集まって「ここうちの!」と言い合っているわけで。そりゃ、大昔から紛争だらけになるのも頷けます。思わず「ねぇ神様、あなたは何人いて一体誰が本物なの?」と呟きたくなるほどに。

対して日本人の宗教観は彼らとはかなり正反対。一般的な日本人は幼少期の成長を神社で祝福されて、結婚式は教会で挙げて、葬式は仏様の前でという、見事なチャンポンっぷり。年末にはクリスマス→除夜の鐘→初詣ともっと忙しいですし。でも、どれも強く信じているわけでもないから、海外で「アナタハ神ヲ信ジマスカ」とか聞かれて返答に困ってしまう人が続出するのをよく見てきました。

僕自身、昔はよく悩みもしたのですが、最近は強く帰依することがないということに対して逆に誇りを持つようにしています。その方が自分の価値観を元に行動を決められるので。だから、敢えて挙げるのならば僕が信じるのは自分自身と社会道徳。他人への親切ひとつにしても、神様に「人に親切にしなさい。そうすれば天国に行けますよ」って言われたからやるんじゃなくて、単に相手の笑顔を見ることが嬉しいから助けるわけで。

うーん、脱線気味な上に重ためな話になってしまいました。ただ、この街には「早く平和が訪れるといいですね」なんていう軽い言葉で締めきれない、人の業の歴史が詰まっていて、深い何かを考えずにはいられなくなってしまうのです。赦し合い、認め合い、譲り合い、子供時代に誰もが教わる大切な事ですけど、むしろ大人になってもできない人が世界中に多いですねぇ。いや、大人ができないからこそ、子供に教えているのか。いつの日かみんなができるようになる日は来るんでしょうか。。

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旅行記からは若干脱線するのですが、僕にとってものすごく重大なニュースが最近飛び込んできたので、今回はその事について書いてみようと思います。まぁ、これもこの旅行中のリアルな出来事ということでお付き合いいただければ。

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高校時代に部活で一緒にギターを弾いていた先輩が、もうじき日本屈指のメジャーレーベル、AVEXから本格的にデビューしようとしている。(僕はオンエアを見れていないのだけど)コカコーラのCMで「Sunday, Monday, Tuesday~~♪」と歌っているLayla Laneというバンドの男性ヴォーカル&ギターを担当しているHedayがまさにその人。

彼は冗談抜きで僕の人生に一番大きな影響を与えてくれた人かもしれない。夢というものは自分の力で切り開きながら叶えていくものだということを高校時代からずっと体現してくれているのだから。高校時代、僕らは同じクラシックギター部に所属していたのだけど、彼はプライベートでもロック歌手になることを夢見てオリジナルの楽曲をいくつも書いていた。そして県内屈指の進学校でトップクラスの成績を修めていたにもかかわらず、卒業後の進路は単身渡米し音楽修業へ。周りの雑音など気にせず、自分の大きな夢を公言し追いかける姿は、その後の僕の進路選択にも大きな勇気を与えてくれたものだ。

その後、スタジオミュージシャンとして有名なプロデューサーに懇意にしてもらっているだとか、リンゴ・スターと共演しただとか、事あるごとに驚くような便りが聞こえてきてはいたのだけど、数か月前には自身の楽曲がコカコーラのCMに採用決定とのニュースが。そして今度はAVEXからのメジャーデビュー。誰もが憧れるようなサクセスストーリーではないか。きっと彼は色々と恵まれた環境にいたのだろう。でも単なる運のよさで以上に、幸せの青い鳥が近づいてきたときに確実に捕まえることのできる実力を彼が備えていたことは間違いない。渡米後の彼の軌跡についてはLayla Laneのプロフィールページに詳しく載っているが、読んでいて溜息が出た。先輩、どこまで突き抜けてるんですかと。

実際、高校時代から彼の楽曲作りのセンスは際立っていた。ビートルズやクイーンに憧れて、基本的に歌詞は全て英語。作編曲も彼自身が行い、ヴォーカル、ギター、ベース、ピアノ、ドラムの全てを一人でこなしながらデモテープを作っていた。当時、バンドの真似ごとのようなことをしている友人たちはたくさんいたけれど、ほぼ全てをオリジナルで通す彼は完全に次元が違う。僕のiTunesの中には当時の彼のアルバムがそのまま入っていて、今でも他の普通のヒットソングと同様に聞きたくなる時がある。いつの日かLayla Laneがブレークした暁にはリメーク版でも聞ける時が来るだろうか。

20世紀から21世紀へと時代が変わる頃、当時ブームだった3Dグラフィック制作に夢中だった僕はと言えば、PCに明るいからということで、同じクラシックギター部所属なのに部活外では裏側の技術的な事をよく手伝っていた。MTRから持ってきた音源をPCでマスタリングしたり、当時はまだ希少だったCD-RドライブでオリジナルのCDを作成したり、デジカメで写真を撮って本格的な歌詞カードを作ったり。僕自身、ギターに関しては楽しんでは弾くけど、彼のように音楽に対して全身全霊を傾けることはできないことはなんとなく感じていたから、むしろ自分の一番得意な分野で必要とされ貢献できることはとても嬉しかった。お互いに相当な凝り性だった僕らは高校生ながら徹底的に「プロ品質」を目指し(まぁ、今となっては笑いたくなるようなレベルなのだが)下手な専門学校の課題よりもよっぽど刺激的な制作活動をしていたと思う。

彼については忘れられないエピソードや名言がいろいろとあるのだけど、最も印象に残っている姿は、高校生のバンドコンテスト静岡県予選。その前の地方予選を圧倒的な実力で勝ち上がり、迎えた全国大会への最終関門。ここを一位で通過できれば、各メジャーレーベルも注目する東京での全国大会行きの切符が手に入る。その時の演奏曲も例によって完全な英語詞による、クリスマスをテーマにしたオリジナル曲だった。しかもバンドメンバー全員がビシッと決めたスーツ姿。身内からの目線だけど、彼らの演奏は少しおかしいほどに高校生離れしていたと思う。会場の反応も感動というよりはむしろ驚きに満ちていた。英語の歌詞じゃ何を歌っているかよくわからないし。

気になる結果はまさかの「審査員特別賞」止まり。笑顔で賞状を受け取る他バンドの人たちとは対照的に、憮然とした表情で「全国大会を目指してここまで来たのに残念です」とだけコメントを残した彼の姿に、僕は頂点を目指すことのカッコよさと、それを実現させることの大変さを見た。全国大会には県大会で勝利したひと組のバンドしか行けないのだから、それ以外は負け同然。頑張ったで賞なんていらない。でも、今にして思い返せば、あの時の敗北があるからこそ、大きく遠回りして、成長して、今回のLayla Laneとしてのメジャーデビューが決まったのではないかとすら思う。まさにConnecting the Dots、その時にはわからないかもしれないけど、過去の出来事は全てが未来へと繋がっている。

そう、過去の出来事を思い返せば、僕がWebサイトを作り始めたのだって彼がバンドのホームページを作りたいと言い出したのが始まりだった。その要求に応えようと、本を読みながら見よう見まねでhtmlを書き始めたのが、僕の初めてのWebサイト制作。フレームとかエンボスとか当時の最先端(笑)な技術をたくさん使った典型的な拙いサイトだった。当時はまだ3Dに費やす時間も長かったのだけど、その後学割を使って購入したFlash5に夢中になり、僕はいつの間にかWeb業界への道を主に志向することになる。だから、彼が「僕の人生に一番影響を与えた人」だというのは掛け値なしの真実なのだ。

3年越しの計画の果てに実行に移せた世界一周旅行。僕自身、それなりに結果を出し続けているという自負はあるのだけど、当時から10年近くたった今でも、あの尊敬する先輩に追いつけた気が全くしない。いや、むしろ引き離されてるか。あぁ、身近に背中を追える人がいるというのは何て幸せなことのだろう。僕もアクセルをベタ踏みにしてもっともっと突き抜けたい。自分自身の理想の姿を追いこみたい。きっと一生満足なんてできないことは知っている。ただ、その「先」へと進む興奮を味わいたいだけ。帰国後のことをぼんやりと考えている最近の僕には、この彼の飛躍のニュースは単なるめでたい話を大きく超えた意味があるのだ。

他人との比較は意味がない?僕も他人と比較して落ち込むことに意味はないと思っている。でも、小さな自己満足で終わってしまうより、強制的に上を向かせてくれる存在が身近にいるのはいいことだと思う。別に彼と同じことをしたいわけではない、彼の飛躍が素直に嬉しく、羨ましいのだ。羨ましければ自分もやってみればいい。実際、彼は高校時代からスーパーマンのようだったけど、それでもやっぱり生身の人間であることは僕も十分に知っているのだし。単にいつものように狂ったように音楽に打ち込んだ結果がこれなのだろう。僕もその姿勢をもっと見習って自分の限界を越えていきたいと思う。

というわけで、僕の高校の先輩が作ったバンドLayla LaneがもうじきAVEXからHappy Laneというシングルでデビューします。もうAmazonからも予約購入できるみたい(しかも今なら送料無料!)。よかったらこのエントリーを読んでいるあなたも買ってみてください。これでヒットチャートを賑わしてしまったら本物だけど、どうなるのかなぁ。まぁ、僕はもう彼が何を達成しても称賛こそすれそこまで驚きはしないだろうけどね。

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30th (Wed)
Dec 2009

行ってきます。

いやいや、なかなか更新できなくて申し訳ない。僕は今、成田のJALファーストクラスラウンジにいます。これから、10:55(UTC+9)発のJA717便に乗って、16:05(UTC+7)にバンコクに到着予定。ついに始まってしまいましたよ。

このひと月の間、諸々の準備により相当忙しく、友人たちと会ったり、引っ越しをしたり、持ってく物を整理したりと、もうイッパイイッパイな状態でした。でも、なんとか全部今日までには終わったのです!

ちなみに、昨晩はあこがれのパークハイアットトーキョーで前日泊、素敵すぎる夜でしたよ。たぶん、ブログの本編はこのあたりからスタートしたいのですが、もう少しだけお待ちを。このラウンジでの時間も残すところあと僅か、向こうに着いたら定期的に更新するようにしますね。

あと、先日Twitterアカウントを取得しました。もっとリアルタイムなアップデートはsatoshionodaをフォローしてみてください。

では、行ってきます。

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