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5th (Fri)
Aug 2011

[Day153] シントラへ

うぉ、気づけば一年以上のラグが。そろそろ僕の記憶力との戦いになりそうですけど、まぁ、かの有名な深夜特急も完結したのは旅から数年後だったはずですし、僕は僕でマイペースで進めていければと。

Sintra Excurionさて、今回はリスボンのお隣、シントラという街へエクスカージョンに出かけた時の話です。このシントラはユーラシア大陸最西端に位置していることで有名な街で、他にも王国時代に立てられた宮殿など何かと見どころの多い場所です。若干、公共の交通機関でのアクセスが悪く、移動方法をどうしようかと検討していたのですが、ちょうど滞在していたTravellers Houseという宿が格安でミニバスツアーを組んでいたので、それに乗っかることにしました。

以前のエントリーでも少し書いていますが、基本的に僕はツアーというのはあまり好きではありません。添乗員さんに案内されながら歩くよりも、自分のペースを守りたいですし。だから、気ままなバックパッキングをしているわけで。ただ、今回のツアーに関しては、さすがにhostelworldで世界一の評価をもらっている宿の主催。バックパッカーの好みをしっかり理解しているようで、陽気なドライバーのお兄ちゃんが目的地まで連れていってくれて現地解散、集合時間になったらまた戻ってきて次の目的地へ移動、という、いい意味でのテキトウスタイル。移動中はお兄ちゃんの語るポルトガルの歴史を聞いたり、同行者と世間話をしたり。迷って苦労しながらそれすらもネタにしてしまうハードコアな旅のスタイルも好きですけど、こうやってお手軽かつ気ままに観光するのも悪く無いかなぁと思い出しました。

Sintra Excurionツアーはまずはシントラ最大の観光名所であるペナ宮に到着。様々な建築様式が融合したこの不思議宮殿は、残念ながら館内撮影禁止だったのですが、この珍妙な色使いの外観だけでも十分に楽しめました。一体、何を考えてこんなカラフルな壁の塗り方しちゃったんですかねぇ。

Sintra Excurion続いてもう一つの有名なお城へ(名前失念)。小川の流れる広い庭園を歩いていると、地下へと続く井戸があったり、その井戸から川のほとりに抜ける地下道があったりと、散歩しているだけでちょっとした冒険気分。建築物としての規模はペナ宮と比べてしまうと小ぶりなのですが、十分に散歩を楽しめる場所でした。

Sintra Excurionそして、僕がどうしても行きたかったユーラシア大陸最西端のロカ岬(Cabo da Roca)。極東からやってきて、ついに西の果てまでたどり着いてしまいましたよ。そこから更に西を臨むと水平線の向こうにはコロンブスが目指したアメリカ大陸があるわけで。今後の旅へと思いを馳せるとワクワクしてきますね。理想的には海に沈む夕日が見たかったのですが、ここはツアー参加の泣き所。それはいつの日かまたこの地を訪れることができたときに取っておきましょう。

リスボンには都合7泊の滞在だったのですが、ここもいつものようにあっという間。ここから100日くらいは大体5泊程度の周期でヨーロッパの主要都市を鉄道で回っていくことになります。そこで、次回は旅の話ではなくヨーロッパの鉄道事情的なことをまとめておこうかと。

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16th (Tue)
Nov 2010

[day147] 聖地エルサレム

聖地エルサレムテルアビブから直通バスで1時間くらい揺られると、エルサレムの巨大なバスターミナルに到着です。そこからローカルバスに乗り継ぎ、色々な人からお勧めされていたPalm Hostelへ。ここはアラブ系の人が経営している安宿で一泊50ILS(1300円弱)はエルサレムではかなりの格安レベル。おかげで世界中からバックパッカーが集まってきているようで、当時は韓国人とドイツ人がマジョリティ。オーナーさんによると日本人もよくくるけど、今はシーズンじゃないだろ(当時5月半ば)とのこと。はい、よくご存じのようで。

聖地エルサレム宿の前には旧市街の主要な入口のひとつであるダマスカス門があり、そこを抜けるとエルサレム旧市街のイスラム教エリアが広がっています。店先に並ぶ新鮮な野菜と果物、色とりどりの香辛料、わけのわからない電化製品…、規模こそ少し違いますが、ひと月くらい前に旅をしてきたアンマンやダマスカスを思い出し、不思議と懐かしい気持ちになってしまいました。

聖地エルサレムしばらく歩いていると、マシンガンを携えた軍人さんが管理しているセキュリティーゲートが目の前に現れました。飛行機の搭乗前よろしく荷物をX線の機械に通してゲートを越えると広場のようなところに到着。髭を伸ばし真っ白なシャツと黒いスーツにシルクハットというまさに正装のユダヤ人たちが巨大な壁に向かって頭を垂れています。そう、ここが彼の有名な「嘆きの壁」。

紀元前にダビデ王が築き上げ栄華を極めたという古代イスラエル王国。中でも神の玉座へと通じているとまで言われたエルサレム神殿の外壁跡がここ。その後、ローマ人の侵略によって破壊され、以来2000年以上もの間、世界中に離散したユダヤ人たちはこの悲劇を嘆き、王国の再建を祈り続けてきたとか。この日も一般の観光客が遠巻きに見学している中、多くのユダヤ人たちが壁に向かって祈りをささげていました。一応、外国人向けのエリアもあり、観光客も祈りの真似ごとをすることは許可されているのですが、あまりにもユダヤ人の皆さんが真剣に祈っているため、僕自身はずかずかと土足で入っていく気にはならず。

聖地エルサレムそしてその壁を見上げると、その奥には世界最古のイスラム建築、岩のドームが鎮座しています。イスラム教徒にとってもエルサレムは三大聖地のひとつ。創始者のムハメッドが天を昇り一夜にしてメッカからエルサレムに飛んだ体験をしたと言われています。残念なことにイスラム教徒以外はエリアそのものに立ち入り禁止になっていたのですが、丘の上から眺めると金色のドームが良く見えます。

更に散歩を続けると、キリストが磔にされたゴルゴダの丘に建てられたという聖墳墓教会が。聖地であるこの地を奪取するために中世キリスト教諸国が十字軍を派兵した話は学生時代に世界史の授業でやったような気が…。当日もどこかの教会のベルが鳴り響く中、キリスト教の団体のツアー客が聖歌を歌いながら教会の周りを歩いていました。

聖地エルサレム宿を出てからこの散歩コースを歩くのに僅か2時間。立ち止まらずに歩き続ければ1時間もかからない範囲の中にアブラハムの宗教と呼ばれる3大宗教の唯一とも言える聖地があるのです。街中を歩いているとマシンガンを持った軍人さんがそこら中を闊歩していて、この街が世界中の民族問題の争点となっていることがひしひしと伝わってきました。まぁ、皮肉なことに強盗などの軽犯罪の不安は彼らのおかげで全くありませんでしたけど。さすがにマシンガンを持った人の前で人にナイフを突き付けるようなバカはいないでしょうし。

それにしても宗教って難しいですよね。これはオーストラリア留学時代から感じていたことなのですが、人間って似た者どうしで固まる習性がすごく強い動物だなぁと思います。家族、国籍、性別、出身校、人種、趣味、好きな歌手etc、 誰かが自分と似たような属性を持っていれば仲間として認識し親近感が湧いてくる。一方で反対の属性を持っている人に対しては排他的傾向になりやすい。宗教なんてその最たるもので、同じ教義を共有していれば国籍すらも飛び越えて仲間になれるのに、自分の宗教だけが正しいと信じていると他の宗教に対しては徹底的に攻撃的になってしまう。

そして、このエルサレムには自分たちの神こそ唯一の神だと信じている宗教が三つも集まって「ここうちの!」と言い合っているわけで。そりゃ、大昔から紛争だらけになるのも頷けます。思わず「ねぇ神様、あなたは何人いて一体誰が本物なの?」と呟きたくなるほどに。

対して日本人の宗教観は彼らとはかなり正反対。一般的な日本人は幼少期の成長を神社で祝福されて、結婚式は教会で挙げて、葬式は仏様の前でという、見事なチャンポンっぷり。年末にはクリスマス→除夜の鐘→初詣ともっと忙しいですし。でも、どれも強く信じているわけでもないから、海外で「アナタハ神ヲ信ジマスカ」とか聞かれて返答に困ってしまう人が続出するのをよく見てきました。

僕自身、昔はよく悩みもしたのですが、最近は強く帰依することがないということに対して逆に誇りを持つようにしています。その方が自分の価値観を元に行動を決められるので。だから、敢えて挙げるのならば僕が信じるのは自分自身と社会道徳。他人への親切ひとつにしても、神様に「人に親切にしなさい。そうすれば天国に行けますよ」って言われたからやるんじゃなくて、単に相手の笑顔を見ることが嬉しいから助けるわけで。

うーん、脱線気味な上に重ためな話になってしまいました。ただ、この街には「早く平和が訪れるといいですね」なんていう軽い言葉で締めきれない、人の業の歴史が詰まっていて、深い何かを考えずにはいられなくなってしまうのです。赦し合い、認め合い、譲り合い、子供時代に誰もが教わる大切な事ですけど、むしろ大人になってもできない人が世界中に多いですねぇ。いや、大人ができないからこそ、子供に教えているのか。いつの日かみんなができるようになる日は来るんでしょうか。。

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カッパドキアでの道ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群は、世界遺産の中でも珍しい複合遺産(自然/文化両面で人類の宝と認定)という指定を受けています。ギョレメの街の周囲には奇岩が立ち並び、まさに異世界と形容するのがふさわしい光景。なんでも一部はスターウォーズエピソード1のロケ地として使われたこともあるとか。確かに写真だけ見せられたらどこかの他の星と言われても信じてしまうかもしれません。地元の人はこの奇岩をくり抜いた洞窟に近代まで住んでいたらしく、今でも至る所に住居の跡地としての洞窟が存在しています。

ギョレメでの宿

カッパドキアでの道そしてこの奇岩の中に泊ることができるのがこのギョレメの面白いところ。しかも、一般観光客向けの高級ホテルだけでなく、バックパッカー向けの安宿もいくつかあります。今回、僕らが泊ったのは例によってHostelworldで見つけたYashin's Place Backpackers Caveというところ。一緒に行動していたシンさん&トモコさんは予約なしだったのですが、オーナーのヤシンさんに相談したところ空いていた3人部屋を僕らに充ててくれることに。ヤシンさんはギョレメの街で生まれ育っているので、何処に行くにも彼に聞くとすぐにお勧めの場所を教えてもらえます。レストラン、観光ツアー、ハマムetc、彼のアドバイス(ディスカウント付!)には相当助けられました。毎朝調理された卵料理がついた美味しい朝食が付いて一人当たり20TRY(1300円位)というのはかなりお得だったかと。確かに部屋のクオリティや清潔さは一般のホテルにも劣りますが、パーソナルなサービスやホスピタリティは五つ星ホテルにも勝るものがあると感じました。

5月初旬のカッパドキアは気候が不順なため、トルコ国内としてはやや閑散期だそう。宿には僕ら以外に数組の欧米人がいるだけでしたし、ギョレメの街自体もそこまで賑わっている風には見えませんでした。しかし、何故かやたらと見かける日本人客。それもバックパッカー風ではなく、巨大な観光バスに乗ってプール付きの岩窟ホテルに入っていくようなグループが何組も。さすが日本人が大好きな目的地だなぁと思っていたら、どうやら当時は日本のゴールデンウィーク真っただ中。なるほど、そりゃ日本人の姿が多いのにも頷けます。長いこと旅行していると日付の感覚が薄くなってくるので気をつけなくてはいけません。

パックツアーのいいところ、苦手なところ

カッパドキアでの道僕自身は、パックツアーってちょっと苦手なんですよね。まぁ、そもそも団体行動ができないから気ままな一人旅をしているという事でもあるのですが。しかし、このカッパドキアというエリアはかなり広大で、ギョレメから数十キロ圏内に点在している見どころを見て回るにはツアーが一番ということで、久しぶりに参加してみたのです。でも案の定というか、結果は正直ちょっと微妙でした。確かに、有名な地下都市や修道院など個人では行きづらところをガイドによる案内で効率よく回れたのですが、この「ガイド&効率」というのが非常に問題で、個人的にはもっとゆっくりしたいところで急かされ、どうでもいいところで時間を取られという内容。まぁ、グループ全体の最大公約数的な時間配分になってしまうは団体旅行の宿命なので仕方ないですよね。ただ、詰め込み過ぎなツアーは避けるべきというのを痛感しました。おそらく、理想形は中東でやったようにタクシーを一日チャーターして、各所の入り口まで連れて行ってもらうことだとは思うのですが、バックパッカーの予算的にそれが許される場所ではなくなりつつあります。

僕に適した旅行スタイルは

カッパドキアでの道そこで、近場に関しては別の日にピクニックがてら自分たちで行ってみることにしました。効率無視の一点狙いなら行けるはず。宿で教えてもらった現地のバス情報とガイドブックに載っているざっくりとした地図だけが頼りです。近場らしいバス停で降りたら、周りに聞き込みつつ旅人の感を頼りにしながら歩く方向を決めました。完全に一人旅の場合、こういった僻地での冒険的な歩き方には若干の不安が付きまとうものなのですが、気の合う同行者がいると道に迷っている状況ですら楽しくなります。そういう意味でカップル二人旅というのはかなり羨ましい旅行形態ですよね。まぁ、たまには試練もありそうですが僕の知っている人たちはふたりの距離感がちょうどよいカップルが多く、みな楽しそうに旅行をしていました。彼らに言わせてみれば僕のような「3人目」が入ってくるのがいいスパイスにもなるようで。

カッパドキアでの道荒野の中に立ち並ぶ奇岩を横目に歩き続けること1時間程度、よくやく目指していた場所に辿りつくことができました。カッパドキアと言えばこの写真と言っても過言ではないくらいに多くのガイドブックに登場している、このキノコ岩。異なる地層が浸食の影響で云々という話もどこかで読みましたが、そんな話はどうでもよく。ギョレメの中心地とはまた違った岩の形に僕ら3人は釘づけでした。ちなみに、僕らはどうやら正規の舗装された道路ではなく地元の農道のようなところを辿ってきてしまったようなのですが、まぁ、これも気楽な個人旅行だから出来ることですよね。旅行とは目的地を堪能するだけのことではなく、到達するまでの過程も含めての旅行なのだという事をこの旅の間に強く感じています。

カッパドキアでの道帰り道はバスがなかなか来なかったので、果敢にも歩きにチャレンジ。まぁ、バスで15分程度の一本道なら1時間半くらい歩けば着くだろうと。眺めもそこそこにいい場所なのでのんびり歩くのも悪くないかと。5月の太陽が照りつける中、30分くらい歩いていると何もしていないのに現地のお兄ちゃん二人組の車が横に停まりました。片言の英語で「どこ行くの?乗せってってあげるよ」と。めちゃくちゃいい人だー。「ギョレメなんだけど」と言うと、乗ってけのサインが。おかげで残り1時間程度を歩かずにすみました。これも僕一人なら乗ることに若干躊躇してしまうのですが、こっちは3人、向こうは2人。場所柄から考えても危険度は少ないという判断ですね。たまに危なっかしい匂いもしますけど、こうやって旅の途中で地元の人の小さな優しさに触れた時にはほんとに嬉しくなります。

そんなこんなでギョレメには5日間ほど滞在していました。次の目的地はヨーロッパとアジアのかけ橋、イスタンブール。ついに世界一周、中東旅行編も終盤ですね。

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