Jan 2010
[day1] ハメられた。。
前回からの続きです。
あぁ、やっぱりボッタクリなのね。金額的には日本人の僕には平気な金額ですが、ここまでの流れで見抜けなかった自分が情けない。軽いショックで言葉を失いかけますが、まずはこの詐欺から自分の身を守らなくては行けません。僕はなぜか不思議と事件に巻き込まれるので、事件直後の被害の削り方には妙に慣れています。
それにしても、3時間遊んで15,000バーツはちょっと高すぎる。タイ全体の物価が日本の三分の一くらいだという感覚がありますから、できればこのキャバクラ単体での出費は高く見積もっても5,6000バーツくらいに抑えたいところ。さて、この状況でどうやって値切っていこうか。
まずは、自分の財布にはそれほど現金がないことはお店に入る前にスチャドにも確認済み。ただし、クレジットカードが入っていることは見られているので、支払能力はあるとみなされているのでしょう。ATMでキャッシングすれば済むことですからね。
ちなみに、僕が先にカードで払ってもいいかと逆にふっかけてみたところ、ものすごい勢いで拒否されました。手数料が高いからなどと主張されますが、お店への実際の支払額と開きのある証拠です。あとは正式なログを残されたくないというのもあるでしょう。頭の中では彼に対する有罪は確定なのですが、向こうもまだフレンドリーな体制を崩さないので、こちらもまだ信用している振りをしながら会話を続けます。
実はその時、僕は複数枚のクレジットカードを所持していたのですが、キャッシングが可能なものはわずかに一枚。他のものは宿のロッカーの中です。まずは、彼に気付かれないようにそのカードだけを抜き出し、ズボンのポケットの中へと滑り込ませます。
そして近くのATMへ。「ちょっと予想より高かったけど、すごく楽しかったからちゃんとお金をおろして払うよ」などと嘘吹きながらキャッシングが出来ないカードをATMに挿入し、PIN番号を入力しました。偽のPIN番号を入力した場合はここでエラーが出るのですが、僕の場合は正しいものを入力しているので問題なく突破。ただし、金額を決定したあとで取引失敗のエラーが発生してしまいます。慌てだす僕「えぇっー、空港ではお金下ろせたんだよ。だから現金があったんだし。」そして不思議そうに返すスチャド「他のカードとか持ってないの?」もう一枚のカードで試してみても結果は当然エラー。「きっとこの銀行が悪いんだよ」とスチャドが言い出し、別のATMで再挑戦しますが、出てくるべきものが出るわけがなく。
これは僕にとっても一大事です、表向きは。これからタイでの一週間の間、どうやってお金を工面していけばいいのでしょうか。動揺した素振りを見せながら近くのベンチに座り込みます。ふぅ、これでやっと本当の動揺を隠しながら落ち着いて次の手を考えることが出来る。スチャドが心配そうに僕のところに寄ってきます。「じゃぁ、今からタクシーで空港へ行くか?」おぅ、取り立て厳しいですね。空港自体は24時間営業らしいのですが、やることは同じなので行ったところでタクシー代が余計にかかるだけです。
僕が空港は遠すぎると呟きながら途方にくれていると、今度はスチャドがすごいことを言い出します。「そういえば、日本円って持ってないの?」ありました、虎の子の一万円が僕の手帳の中に。「これだけしかないんだけど、足りないよねぇ」とヘソクリを差し出す僕に「全然足りないなぁ」とスチャド。現地通貨にして4000バーツ弱ではさすがに満足してもらえないようです。でも、現金を僕の手から抜き取るスピードが異様に速い!さて、次はどうしたものか。
あまりにも長居しすぎるのは危険そうですし、できることなら宿に帰って寝たいのですが、このオッサンがこれだけで諦めてくれる訳がなく。そこで、彼に提案、「多分宿に変えれば日本円でもう2万円くらい残ってると思うんだけど、なんとかそれで勘弁してくれないかなぁ?」「しょうがない、サトシとは友達だから残りはサービスしてあげるよ」若干、気が重いのですが、トゥクトゥクで宿の近くまで移動です。そして、彼をフロントに置いたまま、自分の部屋へ、いました諭吉さんが数名。でも、ここで素直に2万円を差し出すのはやっぱりバカらしい。そこで、諭吉さんの代わりにちょうど二人いた一葉さんに出動を要請してみることいしました。
フロントに戻ると彼はどういうわけか建物の外で待っていました。どうも、中の空気が居づらいらしい。「中のほうが涼しいのにどうして?」などと余裕を見せつつ、申し訳なさそうに、「ごめん、2枚持っていたと思ったら両方共5千円札だった」とのし袋を差し出します。「これじゃぁ足りない」とか言いながらもやはり高速で現金を確認するスチャド。うーん、困ったものだ。僕もこれ以上は完全に予算オーバーなんですよねぇ。
そこで、決めの一言「宿の人に貸してもらえるか聞いてみようかなぁ。」と呟いたところ、彼の態度が豹変しました。「うん、ワタシも眠いから、やっぱりこれでいいよ。」若干後退り気味な彼に対して、あくまでもフレンドリーに「ほんとにいいの?マジで申し訳ない」と謝りまくる僕。実際、当初の目論見の半額にはなってしまったものの、案内料を含めても一晩では十分すぎる値段になったのでしょう。
その晩は出鼻をくじかれた自分が情けなくて、かなりぐったりとしながら眠りに落ちました。翌日、目が覚めてもこのアウェーの洗礼によるショックの大きさにあまり動く気はせず。その後、あれは呑み代に加えて、今後のレッスン料+年末のパーソナルガイド料込の値段だったんだと自分を正当化することで、なんとか持ち直したところです。あとはもうこの失敗を徹底的に話のネタにしてやろうかと。転んだところでただで起き上がる気は毛頭ありません。
ここから学んだことは「向こうから声をかけてくるときは相当気をつけろ」「知らない人と飲みに行くときはキャッシュオンもしくは明瞭会系のお店へ」といったところでしょうか。いや、これって一般常識なんですが、念願の初日でタイの熱気にあてられていたところをうまく付け込まれてしまったようです。まぁ、被害額もそこまで甚大ではなく、怪我なども一切せずに無事ですので、これを今後の長い旅路の教訓にしていくしかないですよね。でも、2万円はちょっと大きいよなぁ。。