旅行記

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1st (Tue)
Jun 2010

[day85] ダハブ沈没

ダハブ沈没いや、ほんと、このダハブという街のことは完全にノーマークだったんですよ。むしろ、バスがスケジュール通りに到着していたら、そのまま乗り継いで次のヌエバまで抜けてしまおうかと考えていたくらいに。しかし、15時間で着くと言われていたルクソールからのバスが、実際には20時間以上かかってしまい最低でも一泊が確定。ここで客引きにつかまってしまった僕を助けてくれた韓国人のお兄ちゃんの一言が僕のダハブでの運命を決定づけてしまったのです。「よかったら一緒にセブンヘブンという宿に行くかい?」と。

ダハブ沈没ダハブは紅海に面したリゾート地、そしてダイビングの名所でもあります。海岸線沿いにはいくつものカフェとダイブショップが連なり、バックパッカー向けの安宿も何件か存在しています。その中の一つが、今回僕が滞在することになったセブンヘブン。当初は一泊だけの予定だったのでシングルルーム(というかツインを独り占め仕様)にしたのですが、一泊30ポンド(500円位)というのは激安かと。そして、この宿にはダイブセンターも併設されていて、ヨシさんという素敵な日本人インストラクターの方もいるので、多くの日本人がここでライセンス取得に挑戦していました。

実は、僕は数年前に患った肺の病気のせいで気圧の変化の激しいいスキューバダイビングは残念ながらドクターストップ。でも、紅海の透明度はとても高く、シュノーケリングをしながらサンゴ礁の間を潜り抜けていくカラフルな魚たちを見ているだけでも十二分に楽しかったです。この碧い世界に魅せられてしまう人達の気持ちもよくわかりますね。うーん、僕が本当にダイビングにハマってしまったら、それこそカメラ機材とのダブルパンチで金銭的に溺死状態になっていたかもしれない(一眼レフカメラ用の防水ケースはそれだけで2,30万する高級品)。ドクターストップというのは、ある意味ちょうどいい抑止力だったのかもしれません。

ダハブ沈没シュノーケリングに行かない日は、昼間は近くのレストランでブログを書いたりKindleを読んだりと海辺のリゾートを一人で満喫(途中でKindleを落として液晶が割れてしまうという悲劇が起こりましたが…)。100%の擦りおろしマンゴージュースがジョッキ一杯で15ポンド(250円位)で飲めるのです。実はエジプト価格からするとなかなかいい値段なのですが、とても美味しいので気にしない。他にもイチゴジュースやメロンジュースなどビタミン補給の名の元に毎日二杯くらい飲んでました。

ダハブ沈没夕方からは宿に度待っている他の日本人のみんなと合流して近くのレストランへ夕食へ。どうもダハブの多くのレストランでは日本人ご優待価格のようなものが設定されているらしく、格安でちょっとしたコースメニューが食べられてしまいます。例えばレモンジュース、パン、サラダ、スープ、メイン、デザートに食後の水煙草までついてたったの20ポンド(370円位)とか。まぁ、僕の場合は水煙草もNGでしたが、それにしても安い。海辺の街なのでシーフードメニューも充実していて、特に洋風あら汁のようなスープはかなり美味しかったです。

ダハブ沈没そして食後はビールを片手に深夜までトーク&ゲームというのが毎日の流れ。特に世界中で旅人達に親しまれているという「ダハブゲーム」の面白さは半端なかった。基本はウソツキを探すトークゲームなのですが、一回につき30分から1時間くらいずっと喋り続けなくてはいけないので、初めて会った人たちともすぐに仲良くなれるというまさに旅人のためのゲームなのです。あまりにもクセになってしまうので酷いときには夢にまでこのゲームが出てきました。あぁ、いつかまたやってみたいなぁ、ダハブゲーム。

実は僕はこのセブンヘブンにやって来るまでいわゆる日本人宿に対してあまりいい印象を持っていなかったのです。いや、正確にはまだ持ち続けているのかも。でも、ここで逢った人たちはホントに素敵な人が多かったのです。当時セブンヘブンには20人を超える日本人が滞在していたのですが、殆どは長期旅行の間でダイビングを楽しもうと立ち寄った人たち。アフリカを縦断してやってきた世界一周婚前旅行中のカップル、インドで睡眠薬強盗にあっても旅を続ける教採待ちの塾講師、ダハブでダイビングの魅力に引き込まれこれを生涯の職業にしようと決めた元調理師、ダハブゲームがやりたくて遠路はるばる日本からダハブまでやってきてしまったネオニート、それぞれの人に物語があり、夜遅くまでいろいろと語り合ったものです。

ダハブ沈没そんな結果、気が付いたらまさかの25泊と言う長期滞在になってしまいました。25泊ですよ、25泊。これを「沈没」と言わずしてなんと形容できるのか。「ダイビングもせずにここまで長期でいる人は珍しい(笑)」と言われてしまいましたが、でも、ここで過ごした時間や得られた友人たちのことを考えると、後悔しているようなことはまったくなく。実際、既に中東を旅してきた人たちから得た生の情報はあとでかなり役立ちましたしね。そして、何よりも中東を一緒に旅できる仲間たちができたのが大きかったかと。ちょうど同時期に滞在していたメンツの中でヨルダン方向に北上するのは僕を含めて5人。せっかくなのでみんなで一緒に出発することにしたのです。旅は道連れというやつもたまには良いものですね。

次の目的地はヨルダンのペトラ。インディージョーンズの撮影にも使われたという、中東最大級の遺跡があるところです。濃密な日々を一緒に過ごしたセブンヘブンの仲間たちと別れるのは名残惜しくもあったのですが、出会いの数だけ別れも増えるといつものように口ずさみながら、新たな旅路に身を任せることにしました。

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ルクソールへ寄り道当初の予定ではエジプトはカイロに一週間滞在したらそれで終わりのはずだったんですよ。でも、カイロの宿でルクソール&アスワンへのツアーを猛プッシュされたおかげで気になりだしてしまい、自分でルクソールへの列車を手配してしまいました。ハイ、宿のお兄ちゃんは無駄な努力です。カイロからルクソールへは直通の夜行列車で12時間程度。できれば昼間の列車で車窓から流れる景色を楽しみながら移動したかったのですが、安全上の理由から外国人は夜行列車しか使えないとのこと。寝台車(60USD)とコンパートメント(170EGP≒30USD)のチョイスは迷わずコンパートメントを選択しました。

道中、同室になった日本人の大学生と久しぶりに日本語で喋ったりしていたらルクソールに到着。電車からホームに降りると、軽く20人は超えるだろう客引きの皆さんからいきなりの大歓迎を受けました。覚悟はしていたものの、カイロにも数段増して五月蠅いところのようです。一人の客引きに既に予約していた宿の名前を告げると仲間を呼んできてくれ、彼がそこまで連れて行ってくれるとのこと。まぁ、例によってチップを要求してくるのだろうということは見え見えなのですが、金額は大したこともないので、時間を買っているのだと自分に言い聞かせ道案内をお願いすることにしました。そして、これが意外な効能。彼と一緒にいれば他の客引きたちは寄ってこないのです。まだ宿を決め切れていない他の旅行者達には何人もの客引きがアタックしている様子を見ていたら、これはこれで意外と快適なのではないかと思いだしてきました。

ルクソールへ寄り道ルクソールはナイル川を挟んで東側と西側に別れていて、僕の滞在していた安宿もある市街地は東岸に集中しています。そして、こちらにあるルクソール神殿とカルナック神殿は自転車があれば余裕で回れるということで、到着したその日にサイクリングに出ることにしました。いやぁ、正直驚いた。ルクソール神殿、カルナック神殿ともにものすごくデカイ。歴史背景なんて知らなくてもただその大きさに圧倒されました。おまけに観光地だというのに僕の行った時間はそこまで人ごみもなく、落ち着いてみることができました。

続いて西岸は別の日にタクシーをチャーターしてプライベートツアーを組んでもらいました。とりあえず主要な場所に連れて行ってもらって、一人で観て回って、駐車場に戻るとタクシーがまた待っているという、タイのアユタヤでやったのと同じパターン。コストのことを考えると、その場で申し込める団体ツアーに乗っかったほうが安いのですが、僕の場合一か所に腰を据えて写真を撮ったら他の細かいところには目もくれず移動という事が多く、団体行動には全く向いていないんですよね。誰か、他の旅行者をナンパしてタクシーをシェアできれば安くあげられるのですが残念ながら空振。まぁ、エジプト価格なのでタクシー半日で3500円位(チップ別)と一人でも十分許容できる範囲なのですが。

ルクソールへ寄り道最初に行った王家の谷は残念ながら全面的に撮影禁止。来てしまったので高い入場料を払って入っては見ましたが、うーん、洞穴の中に絵が描いてあっても何も萌えない。。この前のカイロ博物館の二の舞のようです。そして、次のハトシェプスト女王祭殿と言うところは、酷い人ごみで入場する気にすらなれず。ずらーっと並んだ観光バスはある意味壮観ではありましたが。そして不思議なことにその駐車場の周囲にある遺跡群(貴族の墓らしい)には誰も目を向けていないのです。近くの警備員に確認したところ、実際に墓の中に入らなければ歩き回るのは無料な上に写真撮影も問題なしとのこと。近くにいたおっちゃんが勝手にガイドし出したのを無視しつつ、一人きりの遺跡散歩を楽しむことにしました。

ルクソールへ寄り道その後、ラムセウム、メディハブというややマイナーなスポットにも行ったのですが、実際、こちらの方が圧倒的に好印象。誰もいない遺跡に一人で腰かけていると、まるで自分が4000年前にタイムスリップしたようで、追加料金を払ってまで来た甲斐があったというものです。時間が無いからとこのあたりをスキップする人も多いようですが、個人的には前述の王家の谷、ハトシェプストよりも絶対にこの二つをお勧めしたいですね。

ルクソールへ寄り道あと、ラムセウムの出口で遠足に来ていた現地の子供立ちに囲まれて一緒に写真を撮ってくれとお願いされてしまうという場面も。調子に乗ってこちらもカメラを向けたらみんなが大騒ぎでやってきてくれました。どうも、彼らにとってアジア人はかなり珍しい存在のようです。うん、この手のうるささは大歓迎なのですよ。金の匂いを嗅いでやってくる連中と違って彼らは好奇心から近づいてくるだけですから。片言の英語で話してくれた先生もニコニコしていい人でした。ホント、観光産業従事者じゃなければ素朴で素敵な人が多いです、エジプト人。

そして次の予定では、ルクソールから一旦カイロに戻り、そこからヨルダンへ抜ける国境の街、ヌエバに向かう予定でした。でも、ルクソールの宿で「ダハブまでバスで抜けてからヌエバに向かった方が安いし時間の節約にもなるぞ。よかったらチケットの手配をしてやろうか?」と猛プッシュされ、またカイロに行くのなら別のところを経由してみようかと、自分でバスの手配をしてしまいました。ハイ、宿のおっちゃん、無駄な努力です。そして、そんな軽いノリで向かったダハブでまさかあんなことが起こるとは。夕方発の夜行バスに乗り込んだ僕はまだダハブの恐ろしさを全く知らなかったのです。

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26th (Wed)
May 2010

[day67] カイロ観光

カイロ観光カイロには7日ほど滞在していたので、その間に観光名所的なところにも色々行っています。まず欠かせないのはピラミッドですよね。前回のエントリーにもある通り、僕の考えてたエジプトのイメージって砂漠の中にドーンとあるピラミッドだったのですが、到着してみてびっくり、実際にはピラミッドは市街地のはずれにあって、もうすぐそこまで住宅が迫ってきています。そして、夥しいほどの人、人、人。いつもは写真を撮るときにはなるべく関係ない人が写りこまないように注意しているのですが、今回はさすがに無理でした。でも、人が写りこんだところであまり気にならないくらいにピラミッドは大きいのですが。

カイロ観光ここピラミッドに限らずエジプトの観光地の入場料はかなり高めです。ほぼすべてのところで外国人向けの価格が設定されていて、ピラミッドはエリアに入るのに60ポンド(1000円弱)。さらにピラミッドの中やスフィンクスに近づきたい場合は追加料金を支払う必要があるとのこと。なんだか、国を挙げてのボッタクリ政策なような気もしなくはないのですが、さすが主要産業が観光業な国だけのことはあります。ピラミッドや神殿のことを5000年以上続く公共事業と評した人がいるとのことですが、ウマいこと言ったなぁと。ちなみに、エジプトのもう一つの主要産業はスエズ運河の通航料だとか。もう少し何か生み出そうよ、現代エジプト人。

カイロでのもう一つの主要観光スポットであるエジプト考古学博物館(通称カイロ博物館)にも行ってみました。でも、残念ながら正直ピンとくるところは少なかったですね。新王朝とかラムセス何世とか、大昔に昼寝の最中に聞いたことがある単語が色々と出てきたのですが、無造作に並べられた石像を見ていても何も感じるものがなく。自分の背景知識のなさを痛感するだけになってしまいました。ミイラ特別展示室は例によって別料金だったので入る気にもならず。そんな中でちょっと面白かったのが、「Don't Touch」と書いてある張り紙の真下で、警備員自身が石棺に片手を付きながら雑談に興じていたこと。うん、これぞエジプト人クオリティ。

カイロ観光そんなカイロの観光地で一番好みだったのは、オールドカイロ、コプト教地区というところです。実はエジプトは世界中でもかなり古くからキリスト教が信仰されてきた地域で、今でもコプト教という分派の宗徒が国民の10%程度を占めていると言われています。そんなコプト教の人々がイスラム教徒が生まれるよりもずっと前、紀元2世紀ごろから暮らし続けている言われているのが、このオールドカイロエリア。車の入場が制限されてたこの区域は、路地を吹き抜ける風がひんやりとして気持ちいい。のんびりと中を探検していると、小さな教会が何箇所もあり静かにお祈りをしている人が何人も。静かなところは心が洗われるようで歩いていて気持ちがいいものです。

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