May 2010
[day70] ルクソールへ寄り道
当初の予定ではエジプトはカイロに一週間滞在したらそれで終わりのはずだったんですよ。でも、カイロの宿でルクソール&アスワンへのツアーを猛プッシュされたおかげで気になりだしてしまい、自分でルクソールへの列車を手配してしまいました。ハイ、宿のお兄ちゃんは無駄な努力です。カイロからルクソールへは直通の夜行列車で12時間程度。できれば昼間の列車で車窓から流れる景色を楽しみながら移動したかったのですが、安全上の理由から外国人は夜行列車しか使えないとのこと。寝台車(60USD)とコンパートメント(170EGP≒30USD)のチョイスは迷わずコンパートメントを選択しました。
道中、同室になった日本人の大学生と久しぶりに日本語で喋ったりしていたらルクソールに到着。電車からホームに降りると、軽く20人は超えるだろう客引きの皆さんからいきなりの大歓迎を受けました。覚悟はしていたものの、カイロにも数段増して五月蠅いところのようです。一人の客引きに既に予約していた宿の名前を告げると仲間を呼んできてくれ、彼がそこまで連れて行ってくれるとのこと。まぁ、例によってチップを要求してくるのだろうということは見え見えなのですが、金額は大したこともないので、時間を買っているのだと自分に言い聞かせ道案内をお願いすることにしました。そして、これが意外な効能。彼と一緒にいれば他の客引きたちは寄ってこないのです。まだ宿を決め切れていない他の旅行者達には何人もの客引きがアタックしている様子を見ていたら、これはこれで意外と快適なのではないかと思いだしてきました。
ルクソールはナイル川を挟んで東側と西側に別れていて、僕の滞在していた安宿もある市街地は東岸に集中しています。そして、こちらにあるルクソール神殿とカルナック神殿は自転車があれば余裕で回れるということで、到着したその日にサイクリングに出ることにしました。いやぁ、正直驚いた。ルクソール神殿、カルナック神殿ともにものすごくデカイ。歴史背景なんて知らなくてもただその大きさに圧倒されました。おまけに観光地だというのに僕の行った時間はそこまで人ごみもなく、落ち着いてみることができました。
続いて西岸は別の日にタクシーをチャーターしてプライベートツアーを組んでもらいました。とりあえず主要な場所に連れて行ってもらって、一人で観て回って、駐車場に戻るとタクシーがまた待っているという、タイのアユタヤでやったのと同じパターン。コストのことを考えると、その場で申し込める団体ツアーに乗っかったほうが安いのですが、僕の場合一か所に腰を据えて写真を撮ったら他の細かいところには目もくれず移動という事が多く、団体行動には全く向いていないんですよね。誰か、他の旅行者をナンパしてタクシーをシェアできれば安くあげられるのですが残念ながら空振。まぁ、エジプト価格なのでタクシー半日で3500円位(チップ別)と一人でも十分許容できる範囲なのですが。
最初に行った王家の谷は残念ながら全面的に撮影禁止。来てしまったので高い入場料を払って入っては見ましたが、うーん、洞穴の中に絵が描いてあっても何も萌えない。。この前のカイロ博物館の二の舞のようです。そして、次のハトシェプスト女王祭殿と言うところは、酷い人ごみで入場する気にすらなれず。ずらーっと並んだ観光バスはある意味壮観ではありましたが。そして不思議なことにその駐車場の周囲にある遺跡群(貴族の墓らしい)には誰も目を向けていないのです。近くの警備員に確認したところ、実際に墓の中に入らなければ歩き回るのは無料な上に写真撮影も問題なしとのこと。近くにいたおっちゃんが勝手にガイドし出したのを無視しつつ、一人きりの遺跡散歩を楽しむことにしました。
その後、ラムセウム、メディハブというややマイナーなスポットにも行ったのですが、実際、こちらの方が圧倒的に好印象。誰もいない遺跡に一人で腰かけていると、まるで自分が4000年前にタイムスリップしたようで、追加料金を払ってまで来た甲斐があったというものです。時間が無いからとこのあたりをスキップする人も多いようですが、個人的には前述の王家の谷、ハトシェプストよりも絶対にこの二つをお勧めしたいですね。
あと、ラムセウムの出口で遠足に来ていた現地の子供立ちに囲まれて一緒に写真を撮ってくれとお願いされてしまうという場面も。調子に乗ってこちらもカメラを向けたらみんなが大騒ぎでやってきてくれました。どうも、彼らにとってアジア人はかなり珍しい存在のようです。うん、この手のうるささは大歓迎なのですよ。金の匂いを嗅いでやってくる連中と違って彼らは好奇心から近づいてくるだけですから。片言の英語で話してくれた先生もニコニコしていい人でした。ホント、観光産業従事者じゃなければ素朴で素敵な人が多いです、エジプト人。
そして次の予定では、ルクソールから一旦カイロに戻り、そこからヨルダンへ抜ける国境の街、ヌエバに向かう予定でした。でも、ルクソールの宿で「ダハブまでバスで抜けてからヌエバに向かった方が安いし時間の節約にもなるぞ。よかったらチケットの手配をしてやろうか?」と猛プッシュされ、またカイロに行くのなら別のところを経由してみようかと、自分でバスの手配をしてしまいました。ハイ、宿のおっちゃん、無駄な努力です。そして、そんな軽いノリで向かったダハブでまさかあんなことが起こるとは。夕方発の夜行バスに乗り込んだ僕はまだダハブの恐ろしさを全く知らなかったのです。