Mar 2010
[day39] 空を飛んだ日
ニュージーランドからシドニーへの移動日。この日は忘れられないイベントが。なんと軽飛行機のパイロットデビューをしてしまったのです。ニュージーランドには飛行機の同好会&教習所みたいなところが何箇所もあって、日本で乗るよりも相当安価に挑戦が可能で、グラントが近くの飛行場まで家族と一緒に連れて行ってくれました。
今回、僕が操縦するのは二人乗りのセスナ機。コックピット内には二組の操縦桿と捜査ペダルがあって、片方を僕、もう一方を教官のおじちゃんが担当します。受付を済ますといきなりコックピットに乗せられ、その場でペダルの仕組みなどの簡単なレクチャー開始。そしてそれが終わるとすぐにエンジン点火。「じゃぁ、さっき言ったように足元のペダルで方向をコントロールして滑走路に向かってくれ」って、日本の車の教習の方がよっぽど厳しいんですが。
若干ヨタヨタしながらもなんとか滑走路まで到着。隣のおじちゃんの確認のもと、エンジンが全開で回りだしました。そして、フルスピードで滑走路を走りだ出してから数秒後、「ちょっと、そこのレバー手前に引いてみようか」と言われたのでやってみると、と、飛んだ、飛行機が。重力から一瞬だけ解放されるような感覚。これはちょっとクセになりそうです。
飛行機はそのままオークランド市街空を通過し湾のあたりへ。ここなら最悪落ちても大丈夫ということなのでしょうか、旋回など自分の好きなタイミングで試していいとのこと。一応、普通乗用車の免許は持っているのですが、飛行機の場合は3次元の空間把握が必要になってくるので大分勝手が違いますね。"ヨー"とか"ピッチ"とか、3Dグラフィックソフトで学んだ動きの知識がまさかこんな場所で役立つとは。当初は少し曲がるだけでも怪しかったのですが、慣れてくると段々意図した方向へ飛べるようになってきました。
そして「ちょっと上空からの写真を撮りたいんだけど、操縦代わってもらえるか?」とおじちゃんに尋ねてみたところ、彼がノリノリになってアクロバット飛行に突入。いやいやそんなサービスいいですから。僕は写真が撮りたいだけなのに。乗り物酔いしやすい体質の僕にはちょっとGがキツ過ぎました。今回は体験飛行ということでトータルで僅か30分というかなり短いフライトだったのですが、もう少し長くアクロバット飛行を続けられていたら、ちょっと酷いことになっていたかも。
着陸だけはさすがに初心者には無理なので、教官の出番です。滑走路を使わずに芝生のエリアに突入したのが謎ですが、さすがプロと惚れ惚れするような着地。殆ど衝撃のようなものがなく、機体がすぅっと地面に降り立ちました。そのあとで、機体をじっくりと見せてもらったのですが、驚くほどにシンプルな構造。計器の類も全てアナログ制御ですし、製造年を考えれば当たり前なのですが、きっと最新のハイブリッド車の方が圧倒的に複雑な仕組みをしていそうです。
「ちゃんとしたライセンスを取るには幾らくらいかかるのかなぁ?」と、最後におじちゃんに聞いてみたところ、「大体1万ドルあれば余裕」とのこと。ニュージランドドル計算なので、現在のレートで60万強あればなんとかなってしまうということではないですか。ちょっと気になって調べてみたら、自家用機扱いなら海外で取得した免許を日本用に切り替えることも容易そう。ニュージーランドの他にもオーストラリア、フィリピン、グアム、航空留学という産業まであるくらいなんですね。いつか本格的にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。