Dec 2010
[day149] 中東からの旅立ち
5泊間の滞在だったエルサレム、旧市街を散歩したり、新市街で食事したりしていたらあっという間に時間が過ぎ去っていきました。ベツレヘムやガザ地区に足を伸ばしてもよかったんですけどね。新市街にあるユダヤ人地区での食事が美味しすぎて、ついついエルサレムに居付いてしまいました。サラダとかハンバーガーとか、特にローカルな食事というわけではないのですが、不思議と味付けが僕の舌にあうのです。これまでに旅した国々の中では一番。実は今後のヨーロッパを含め、旅の全行程の中でも五指には入るであろう食事の美味しい街でした。これから、エルサレムに行く皆さん、安いケバブばかり食べていないで、たまには洒落たバーやレストランに入ってみるのもアリですよ。ユダヤ人クオリティ、相当なハイレベルです。
さて、今回の出発便は土曜早朝発のルフトハンザでフランクフルト経由リスボン行き。わざわざフランクフルト経由にしたのは、もちろんフランクフルトでのファーストクラスラウンジ(今回はターミナルではない)を期待してのことなのですが、その話はまた次回。むしろ、ここでの争点はその土曜早朝発というフライト時間です。僕自身、エルサレムに着いたあたりで気付いたのですが、ユダヤ教の安息日の影響で金土曜は公共交通機関が麻痺状態になるエルサレムにおいて、土曜早朝発便の使用というのはかなりいただけない。バスのタイムテーブルを確認したところ、金曜午前にはテルアビブに向けて出発しないと次の便は日曜までないとのこと。
さすがに、丸一日も空港で無駄にするのは嫌だったので(それに寝坊も怖いですし)、ダメもとでPalm Hostelのオーナーに相談してみたところ「うちはイスラム系だからユダヤの休日なんて関係ない。金曜の夕方に出発するシャトルバスがあるからそれを手配してやる。希望の時間は何時だ?」という頼もしい御返事が。金曜日の一番遅いやつでよろしくとお願いしてみたら、結局、最終のバスは20時発。荘厳な事で有名な金曜夜の嘆きの壁は、ちょうど人が集まりだしたタイミングで撤収となってしまいましたが、それでも人々が聖歌を歌い出すところまでは見ることができたのはラッキーだったかと。いつか再訪の機会があれば、しっかりとした形で目に焼き付けたいものです。
各ホテルでお客さんをピックアップしたバスは高速道路に乗ってテルアビブ国際空港へ。旅行中に乗る民間のバスは得てしてそうなのですが、今回のバスも有り得ないくらいのスピードを出しています。スピードメーターは見えませんでしたが、追い越し車線をひたすらに爆走。隣の路線を走る乗用車たちを軽々と抜いて行きます。当然のように抜かれたら抜き返すし。売られた喧嘩はきっちり買っていくのがこっちの運ちゃんのルールなのか。そこで脳裏によぎったのが深夜特急での暴走バスドライバーによるチキンレースの話。よかった、イスラエルは両側に車線があって。
バスはそんな運ちゃんの頑張り(笑)により9時過ぎにはテルアビブ国際空港に到着。ピックアップの時間を除くと、実質1時間以下で空港に着いてしまった計算になります。テルアビブからエルサレムに来たときはバスターミナル間の移動だけで1時間はかかったのに…。ただ、どんなに早く着かれたところで僕のフライトまで早くなるわけはなく。朝6時のフライトということはチェックインは午前3時。我ながら妙な時間のフライトを選んでしまったものです。とりあえず椅子と電源は確保できたので、PCで写真を整理したりブログを書いたりしていれば6時間なんてどうにでも消化はできますが。まぁ、あまりにも長く滞在していたので、途中で軽く職務質問的なものを受けてしまいましたが、チケットの控えを見せたら納得してもらえた模様。
出国ゲートは入国時に比べればマイルド気味と言えるでしょう。パスポートを提出した時に「なんでハンコがないんだ」と聞かれたのですが「僕は押してもらうのは全く構わなかったんだけど、別室送りにされた上にスタンプは他の紙に押されたんだよ」と半ば逆切れ気味に答えたら「ふーん」とスルーされ、出国スタンプもなし。あくまでも予想ですが「これから中東の国に行きたいから」とか答えていたら笑顔で出国スタンプを押されていたような気がします。まぁ、おかげで僕のパスポートにはイスラエル入出国の形跡が全く残っておらず、多くの人に羨ましがられるのですが、うーん、なんかもやっとだなぁ。
とにかく、これで遂に中東エリアともお別れです。2月の中頃にドバイ入りして以降(ヨーロッパでの若干の道草を挟みましたが)、自分が今まで当然だと思ってきたことが当然出ない世界は新鮮であり、新しい気付き、発見、そして出会いと旅の醍醐味を満喫できた90日間でした。国際政治に関する報道で見かけるような危険さも全くなく、治安もよく人々は優しいいい地域でしたね。さすがにイラクなどの完全な紛争地域は避けるべきですが、それ以外のところには是非とも多くの旅人に訪れてもらいたいものです。きっと、様々な新しい発見があると思いますよ。
次はいよいよ、ヨーロッパ電車の旅が始まります!