シリア

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ダマスカス一人歩き友人たちと別れた後も僕はダマスカスに残り、いつものように気ままな一人歩きの時間です。やっぱり僕は誰にも気を使わずにのんびりする時間が好きなので、こうして一人で街をフラフラしている時間が一番落ち着くようです。ダマスカスは10,000年以上も前から人が定住し始め、世界で最も古い都市のひとつと呼ばれています。様々な文明による征服に次ぐ征服で古代の都市は地下深くに埋もれているようですが、今も残る旧市街にも1,000年以上の歴史があるそう。そんなダマスカス旧市街最大の魅力は、イスラム教地区とキリスト教地区というふたつの全く違った雰囲気の地区を行ったり来たりしながら歩けることかと。

ダマスカス イスラム教地区

ダマスカス一人歩き街の中心にはイスラム教の聖地のひとつで世界最大規模のモスク、ウマイヤドモスクがあり世界中からやって来た巡礼者で賑わっています。そのモスクから延びる巨大なスーク(商店街)には様々な商品を扱う店が連なり、現地の人曰く「このスークで手に入らない物は無い」とか。まぁ、その言い草は東京という最強の買い物都市から来た身としては笑止千万もいいところなのですが、それでも確かに近隣諸国に比べて商店が充実していたことは確かです。カッコいい革製品なども多く、もし自分が雑貨屋のバイヤーをやっていたら絶対に買い付けに来るだろうと街を歩きながら考えていました。

ダマスカス キリスト教地区

ダマスカス一人歩き対してキリスト教地区は若干落ち着いた印象。巨大なスークのようなものは無く、ひんやりとした石畳の路地を歩いていると、いたるところに小さな教会やミステリアスな土産物屋を見つけることができます。シリアという国はイスラム教を国教に制定している国なのですが、そもそもこの都市にはイスラム教が発生する前からキリスト教徒が代々住み続けているのです。キリスト教地区には旧約聖書にも記載がある教会や道が今でも残っています。個人的にはこちらのエリアの方が探検のし甲斐があって好きでしたね。

ハンマームに挑戦

ダマスカス一人歩き今回、僕はイスラム地区でハンマームと呼ばれるいわゆるトルコ風呂(卑猥なやつじゃなくてオリジナルの意味ですよ!)に挑戦してみました。なんでも7世紀から営業し続け、十字軍の兵士たちも利用したという由緒正しき場所です。日本の銭湯と同じように現地の男性たちの一種の社交場のような側面も持っているようなのですが、外国人の僕が行っても快く迎えてもらえました。服を脱いで体にタオルを巻いたら、まずはドライサウナに入ります。このサウナが本当に気持ち良かった。体中に貯まったいけない物が一斉に排出されていくような感覚。「自分、疲れてるんだな」という事を激しく痛感しました。その後、スチームサウナの中で体を洗い、髭、胸毛もじゃもじゃなアラブ人のおっさんがによる垢すり&マッサージ。こちらが痛さで呻いているのもお構いなしに「ガハハ」と笑いながらサービスしてくれました。いや、まぁ気持ちいいことは気持ちよかったですよ。

風呂上がりには脱衣所でタオル巻きになりながら軽く一服。ここでキーンと冷えたビールを頼みたいところなのですが、ハンマームはイスラム教徒の施設のため当然アルコールはなし、コーラでの一服となりました。気になるお会計はフルセットメニューで600SYP(1200円位)。現地の生活物価としてはそこそこのレストラン一回分程度と、それなりにいい値段がしますけど、まぁ、日本で大江戸温泉に行くような感覚ですかね。お会計を済ますとアラビックコーヒーが出てきました。これで風呂上がりの眠気もスッキリですね。

伝説のクロワッサン

ダマスカス一人歩きダハブに滞在していた時に北から下って来た旅人達が口を揃えて絶賛していたダマスカスのクロワッサン。キリスト教地区の路地裏には日本人旅行者の間で伝説的な話題になっている小さなパン屋があります。エクレアなどのスイーツ類も売っていますが、ここの主力商品であるチョコクロワッサンがバターがすごく利いていて半端なく美味しいのです。早く食べないとパンの油が紙袋に移ってしまうくらいに。しかも、ひとつ20SYP(40円位)とかなりお買い得。胃が小さめの人ならこれひとつでランチにできる大きさです。路地をかなり入ったところにあるので若干見つけづらいのですが、これからダマスカスに行く予定のある人はぜひ探してみて欲しいですね。キリスト教地区自体はそこまで広くないので、地図なしで歩き回っていても絶対に目にする機会はあると思います。何回か利用しましたが、お店の前には常に現地の人で軽い行列ができているうえに、路地裏までバターの匂いが充満しているのですぐにわかるかと。

ダマスカス食生活

このクロワッサンを始め、ダマスカスでは庶民のための食事が非常に充実している印象があります。適当に道を歩いていて買うケバブサンド(日本で言うところのラップサンド)は日々の主食になってましたし、その場で絞ってくれるフレッシュジュースもビタミン補給を口実に毎日のように飲んでいました。僕のお気に入りはマンゴーかバナナですかね、やっぱり。そして欠かせないのがジェラートです。イスラム教地区の大きなスークの中には現地でも有名なジェラート屋があるのですが、ここのミルクジェラートが滑らかで美味しいこと。スークの中を歩き回る片手に手放せないアイテムです。直前に滞在していたベイルートとは完全に違った食生活になりましたが、やはり食事はその街の中心層をターゲットとした分野が一番充実するのでしょうね。

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20th (Tue)
Jul 2010

[day111] 友人とダマスカス

レバノンでの一週間の滞在後は、改めてダマスカスに戻りです。今回は14日間の観光ビザを取得して国内をゆっくりと回ろうかと。そして何より楽しみなのが、ダハブで会ったカップルバックパッカーのシンさん&トモコさんとダマスカスで再開予定だということ。ダハブからペトラ、アンマンと一緒に旅をした後で、僕はレバノン、彼らはイスラエルと違う目的地へ向かったのですが、お互い同じ時期にシリアに抜けてくるということでダマスカス集合ということになっていました。一応、当日に僕がダマスカスに到着するのはメールで連絡済み。無事に彼らに会えるだろうかと心配しながら、安宿が集まるマルジェ広場付近でタクシーを降りて歩いていると何やらこちらに向かって手を振っている人が見えます。あ、シンさんじゃないですか。なんでも僕の行動パターンを予測して、付近でお茶をしながら待っていてくれたそうで。この突然の出迎えには正直驚かされました。

友人とダマスカスその日の晩は彼らと一緒に名物の鳥の丸焼を食べることに。一羽をまるっと回転グリルで焼かれたものが240SYP(500円弱)はとってもお買い得。宿に持ち帰って、素手で引きちぎるとグリルによって閉じ込められていた肉汁が一気に滴り落ちます。それを包み紙的に使われ、肉のうまみがしみこんだ薄いパン生地と一緒に食べるのです。シリアで食べた中では最高にウマい食事だったかもしれません。そして、そんなジューシーな鳥肉に欠かせないのは冷えたビール。僕らの宿があったダマスカス新市街はイスラム教徒の街だったので、酒屋がなかなか見つからず大変だったのですが、周囲の人に手当たり次第に聞いたところ、街の片隅に小さな酒屋を発見。お互いの旅について語らいあいながら飲むビールと言うのは格段にうまいですね。

そしてシンさん&トモコさんは翌日からはレバノン行きで一週間弱の滞在予定とのこと。どうやらここで僕のフレッシュなレバノン情報が役立つ時が来たようです。彼らからはエルサレムの宿情報などイスラエルに関する情報を色々もらうことができました。こうやって旅仲間から情報が交換できるのがまた楽しいわけです。彼らとはこのあとシリア北部のハマという街でまた再会の約束を交わしました。お互い日程は厳密ではありませんが、きっと一週間後くらいにはその街近辺にいるだろうと言うことで。そして、もうひとつ重要な情報が。「イヨちゃんが明日ダマスカスに帰ってくるらしいから、よろしくね」と。

イヨちゃんもダハブで会ったメンツの一人で、イスラエルに行くために僕らよりも早くダハブを発っていたのですが、なんとその後アンマンで偶然合流。僕とはダマスカスまで来て一緒に中華を食べた仲です。ふたりを見送ったあとで、彼女が滞在しているはずの旧市街の宿を訪ねて行ってみると今は留守中とのこと。仕方がないので旧市街イスラム地区名物のアイスクリームを片手に街をぷらぷら散歩していると、目の前から見慣れたアジアンファッションの小さな女性が。お互い「あっー!」と叫んでいます。ダマスカスという街自体はかなり大きいのですが、僕らのような余所者が歩き回る場所は限られているので、意外とあっさり出くわしてしまうようです。

少し立ち話をしたところ彼女はシリア国内をぐるっと回ってダマスカスに戻って来たところで、翌朝のフライトで日本に帰国するそう。彼女の半年間の海外放浪もいったんここで終了です。そこで彼女の海外ラストディナーをご一緒するという光栄に預かることになり、旧市街のキリスト教地区に少し洒落た洋風レストランに入ってみることにしました。キリスト教地区には細い路地裏に隠れ家的なレストランが点在していて、現地の若者がも多く利用しているようです。

友人とダマスカスメニューが渡されると、何やら彼女が目をシロクロさせています。どうした?と聞いてみると、彼女のメニューには値段が書かれていないと。そうきましたか。これは「値段を気にせず好きなものを頼んでね?」というお店からゲストへの心遣い。当然、僕の方にはしっかりと数字が書かれています。まさかダマスカスでこれをされるとは思っていもいなかった。はい、今晩は奢らせてもらいます。まぁ、もとからその腹づもりではいたのですけどね。アラカルトの洋食とカクテル数杯(非常に残念ながらノンアルコールオンリー!)を飲んでも、レバノンでの食事よりも安いのですから問題なしとしておきましょう。

食事中や散歩中に彼女からはシリアのお勧めスポットや宿情報を色々と教えてもらいました。そして不要になった地球の歩き方ヨルダン/シリア/レバノン編をゲット!僕は基本的にガイドブックは持ち歩かない主義なのですが、ネットでの情報が頼りないこの地域では紙の情報というのはとても便利そうです。それにしてもこうやって見知らぬ国で友達と出会い、また再会するという行為はかなり面白いですね。今更ながらダハブで沈没しておいてよかったなぁと。あそこで出会った人たちとはこれからも色々な場所で再会する気がしています。

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アンマンからダマスカスまでは、宿で手配してもらった乗り合いタクシー「セルビス」を使用することにしました。ダハブやペトラで会った女性陣3人と一緒に北上再開です。

シリアビザ問題

ちなみに、シリアと言えば気になってくるのがビザの問題です。事前にネットで情報を集めていた限りでは、日本出国後にシリアビザを取得するのはなかなか骨が折れるらしいとのこと。イスタンブールかカイロ大使館で申請して一週間待てばどうにかなるとか。でも、いざ現地に入ってみると最新の状況はどうやらかなり変わっている模様で、カイロの宿のお兄ちゃんは「大使館では絶対に取れないからやめておけ」と。そして、ダハブで会った北から下って来た人たちからも、よっぽどのことがなければ国境で容易に取得できたとの証言を貰いました。この時点で既に心を決めてアンマンにやってきたわけですが、更にマンスールのおっちゃんも、アメリカ人以外なら国境で簡単に取得できるから安心しろと言ってます。これはもう、彼らの事を信じてそのまま行ってみるしかありません。

そして気になる結果はというと、ホントに余裕でした!セルビスの運ちゃんも慣れたもので、アラビア語しか書かれていないビザ申請書を僕らのところに持ってきてくれ、「ここ名前、ここ父親の名前、滞在期間とホテル名」みたいな感じで、事細かに教えてくれます。あとは、それを目の前のカウンターに持っていき、別のカウンターでビザ代を払い、またもとのカウンターに戻れば入国審査完了。特に質問などは何もなく、「Oh, Japanese Welcome!」の一言で簡単に通してくれました。絶対にオーストラリア入国の時の方が質問とか厳しかったし。

ビザ代は日本人の場合は48時間以内のトランジットビザが8USD、14日間以内の観光ビザが24USDで取得できます。しかも、国境の検査官は日本人に対してはかなり愛想がよく、同行の女の子が「シリアには10日間の滞在でその後はそのまま飛行機で日本に帰る」と申請すると「じゃぁトランジット(本来ならば48時間限定のはず)でいいや」と安いほうのビザをくれました。いや、いいんですか!?まじで?僕の場合は翌日すぐにレバノンに抜ける予定だったので、トランジットビザを申請、即時にビザ発行です。

でも、この値段や対応はその人の国籍によってかなり違ってくるようですね。参考までに周りに聞いた感じですと、韓国は日本より若干高め、オーストラリア、イギリスは100USD以上支払わないといけないとか。トランジットビザは聞いた限りでは日本人だけにしか発行されていないようです。さすが世界中でも最強レベルを誇る菊の御紋のパスポート。日本人に生まれてよかったと思う瞬間ですね。先人たちの努力に感謝しつつ、自分もその評判を維持できるように気を付けながら旅行を続けたいものです。

ちなみに、シリアが英語圏の国へのビザ発給に厳しいのは、当然パレスチナ問題が絡んでくるものかと推測されます。イスラエル建国とその後の混乱は、一次大戦当時にイギリス政府がユダヤ人とアラブ人に矛盾した約束をしたことが原因なんですよね。対アメリカに関しては言わずもがなというところですが、シリアとイギリス文化圏は今でも政治的にはかなり疎遠にあるようです。いや、こんなことはこの旅に出てきて初めて知ったのですが。実際に現地に来てみると単なる机上の話に過ぎなかった世界史や地理の話に現実感が湧いてくるので面白いです。

ダマスで晩餐

僕はダマスカスの街にはとりあえず一泊だけ。翌日から一人でレバノンに向かいます。(なのでダマスカス話はまた後ほど。)ここまで一緒に旅をしてきた女性陣ともお別れということで、みんなで久しぶりのアジア飯、中華料理でも食べに行こうかということになたのですが、地球の歩き方によるとダマスカスにある中華料理屋は新市街地にあるシャームパレスと言う高級ホテルの中のみ。一応、情報ではそれなりにリーズナブルということだったのですが、ホテルに着いてみたらハコに関しては見事な五つ星仕様。ロビーには噴水があり、ビシッとタキシードを着こなした給仕の人たちが歩き回っているレストランに同行者の3人は軽く圧倒されていたようでした。まぁ、僕自身はこの程度で動じることは全くないのですが。これもファーストクラス旅行の恩恵と言えるのかもしれませんね。

レストランのクオリティに関してはちょっとガッカリ。味はそこそこによかったのですが肝心のサービスが「高級サービスとはお高くとまることだ」と勘違いしている典型例。こちらがジーンズを履いた貧乏人風だったのも悪いのかもしれませんが、笑顔のかけらもなくこちらを見下したような態度は、同行者がいなかったら席を立っていたかもしれません。彼女たちが「これだけは高級店は肩が凝って苦手」と勘違いしないで欲しいなぁ。ほんとにいいサービスってのは、もっとホスピタリティに溢れているものなのです。これがドバイあたりだと勝手が違ってくるとは思うのですが、中東諸国だとこの手の高級店は各地域でライバルが殆どいないため、こんなサービスがまかり通ってしまうようなんですよね。もともと「旅人をもてなす」ことに優れた文化を持っているのですから、もう少し頑張れると思うのですが。

レバノン行ってきます

前述の通り、僕は翌日からはレバノン行き。ルクソール以来、ひと月ぶりの一人旅はなかなか新鮮な旅になりそうです。

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