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15th (Sun)
Aug 2010

[day115] ハマでの出会い

ダマスカスも十分に堪能したので次の目的であるハマに移動です。ハマはシリア北部にある水車が有名な小さな街なのですが、周辺の遺跡群へのアクセスがいいので拠点として滞在する旅人が多いとのこと。シリアの長距離バスはなかなか豪華で、今回のバスは3列シートでした。僕はひとりなので一列の方。3時間くらいバスに揺られながらウトウトしていたらハマに到着です。

中東一の安宿

ハマの宿はダマスカスで再会したイヨちゃんお勧めのリアドホテル。なんでも多くの旅人が中東一と絶賛するハイクオリティの安宿らしいのです。なかなか人気のある宿で予約を入れておいた方が無難という事で、今回は珍しくメールで事前に連絡をしておきました。(ウェブサイトはないのですが[email protected]に連絡すれば予約できます)実際、宿のクオリティは安宿としてはかなり高いほうかと。ビルの中にあるので趣という概念ではダマスカスの宿に軍配が上がりそうですが、隅々まで清掃が行き届いた部屋にはかなり好感が持てます。予約の段階ではドミトリーを指定したのですが、シャワー共同の個室が600SYP(1200円位)で空いていたので、久しぶりに個室を選択してしまいました。ベッドと小さな机だけの狭い部屋ですが一人で暮らす分には問題なさそうです。ちなみにダブルルームには冷蔵庫やシャワーも付いていて快適そうでしたよ。カップルにはお勧めかも。

チェックイン後は、夕食を求めて街を散策していたのですが、不思議なことに街にはレストランが殆どないのです。大抵の街には食堂が並んで賑わっている通りがあるのですが、宿の人に聞いてもここにはそんなものはないと。衣料品店や雑貨屋のようなものは普通にあるのに食堂だけがないのはちょっと問題です。仕方がないので夕食は道端のサンドイッチ屋で売っていたケバブサンドを宿に持ち帰って食べることにしました。ケバブサンドは中東旅行中の主食なのですがさすがに毎日のように食べていると若干飽きがやってきますね。

(再)再会

宿に戻ってサンドイッチをかじっていたら、不意に横から聞いたことのある声が。ダマスカスで一旦別れたシンさん&トモコさんが登場です。予定よりも若干早めにレバノンを切り上げてシリアに戻って来たそうで。これで、この旅2度目の再会です。前回のダマスカスでの再会でもそうですが、知った顔に合うと安心しますね。リアドホテルでは周辺遺跡へのプライベートツアーも斡旋してくれるので、ちょうど同時期に滞在していた日本人のおじさんも誘って皆で一緒に回ることにしました。この遺跡の話は若干長くなるので次回にまわします。

幸運な出会い

そしてハマでは忘れられない新たな出会いが。シンさんとハンマームに入ろうと旧市街の中を彷徨っていたのですが途中で見事にロスト。地球の歩き方の地図を参考にしていたのですが、どうもそれらしき場所が見当たりません。周辺をうろうろしていたらすっかり日が暮れてしまいました。そこで道に迷ってしまったら周りに聞くのが定石ということで、その辺を歩いている人たちに英語で聞いて回ることに。殆どの人は英語を理解できず困った顔をされるだけだったのですが、運よく携帯電話で話していた若者が反応してくれました。どうやら少し英語を話せるようです。ハンマームを探していると言うと、すぐ近くだから連れて行ってくれると。実際、僕らのいた場所から細い道を奥に進んでいくだけだったのですが、彼の助けがなかったらこの道は進めてなかったでしょうね。

彼はサウジアラビアで情報工学を学んでいる大学生で故郷のハマにちょうど帰省してきたとのこと。名前をオバダと言います。とりあえずハンマームの前に食事に行こうかと話していたら、せっかくの機会だし彼もいっしょに食事に行きたいと。地元の美味しいレストランを紹介してくれるという事でついて行くことにしました。食事はダマスカスでも食べた鳥の丸焼。今回もボリューム満点で美味しかったです。そしてなんとこの食事は彼の奢り。僕ら3人分の代金をポンと払ってしまいました。事前にATMでお金をおろしていると思ったら、このためだったとは。オバダ曰く「イスラムには旅人を大切にしなさいという教えがあるんだよ。君たちはゲストなんだから気にしなくていい」とのことで、今回はそのお言葉に甘えさせてもらう事にしました。

そして翌日、遺跡ツアーに行って帰って来た夕方もオバダの案内でハマの散歩ツアーへ。有名な水車の裏側や彼の出身地の商店街など色々なところに連れて行ってくれました。自分の街を紹介しながら歩く彼はどこか誇らしげです。彼はプログラマーの卵なので今後僕と一緒に働くことがあるかもしれないねとか話してみたり。更にその日の夕飯まで彼の奢り。さすがに二日連続は悪いと思ってこちらも払うと言ったのですが、取り合ってもらえず。今後、彼が日本にくることがあったら、美味しい日本食でたっぷりともてなしてあげなくてはいけません。道端での偶然の出会いでしたがこういう出会いを今後も大切にしていきたいですね。

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ダマスカス一人歩き友人たちと別れた後も僕はダマスカスに残り、いつものように気ままな一人歩きの時間です。やっぱり僕は誰にも気を使わずにのんびりする時間が好きなので、こうして一人で街をフラフラしている時間が一番落ち着くようです。ダマスカスは10,000年以上も前から人が定住し始め、世界で最も古い都市のひとつと呼ばれています。様々な文明による征服に次ぐ征服で古代の都市は地下深くに埋もれているようですが、今も残る旧市街にも1,000年以上の歴史があるそう。そんなダマスカス旧市街最大の魅力は、イスラム教地区とキリスト教地区というふたつの全く違った雰囲気の地区を行ったり来たりしながら歩けることかと。

ダマスカス イスラム教地区

ダマスカス一人歩き街の中心にはイスラム教の聖地のひとつで世界最大規模のモスク、ウマイヤドモスクがあり世界中からやって来た巡礼者で賑わっています。そのモスクから延びる巨大なスーク(商店街)には様々な商品を扱う店が連なり、現地の人曰く「このスークで手に入らない物は無い」とか。まぁ、その言い草は東京という最強の買い物都市から来た身としては笑止千万もいいところなのですが、それでも確かに近隣諸国に比べて商店が充実していたことは確かです。カッコいい革製品なども多く、もし自分が雑貨屋のバイヤーをやっていたら絶対に買い付けに来るだろうと街を歩きながら考えていました。

ダマスカス キリスト教地区

ダマスカス一人歩き対してキリスト教地区は若干落ち着いた印象。巨大なスークのようなものは無く、ひんやりとした石畳の路地を歩いていると、いたるところに小さな教会やミステリアスな土産物屋を見つけることができます。シリアという国はイスラム教を国教に制定している国なのですが、そもそもこの都市にはイスラム教が発生する前からキリスト教徒が代々住み続けているのです。キリスト教地区には旧約聖書にも記載がある教会や道が今でも残っています。個人的にはこちらのエリアの方が探検のし甲斐があって好きでしたね。

ハンマームに挑戦

ダマスカス一人歩き今回、僕はイスラム地区でハンマームと呼ばれるいわゆるトルコ風呂(卑猥なやつじゃなくてオリジナルの意味ですよ!)に挑戦してみました。なんでも7世紀から営業し続け、十字軍の兵士たちも利用したという由緒正しき場所です。日本の銭湯と同じように現地の男性たちの一種の社交場のような側面も持っているようなのですが、外国人の僕が行っても快く迎えてもらえました。服を脱いで体にタオルを巻いたら、まずはドライサウナに入ります。このサウナが本当に気持ち良かった。体中に貯まったいけない物が一斉に排出されていくような感覚。「自分、疲れてるんだな」という事を激しく痛感しました。その後、スチームサウナの中で体を洗い、髭、胸毛もじゃもじゃなアラブ人のおっさんがによる垢すり&マッサージ。こちらが痛さで呻いているのもお構いなしに「ガハハ」と笑いながらサービスしてくれました。いや、まぁ気持ちいいことは気持ちよかったですよ。

風呂上がりには脱衣所でタオル巻きになりながら軽く一服。ここでキーンと冷えたビールを頼みたいところなのですが、ハンマームはイスラム教徒の施設のため当然アルコールはなし、コーラでの一服となりました。気になるお会計はフルセットメニューで600SYP(1200円位)。現地の生活物価としてはそこそこのレストラン一回分程度と、それなりにいい値段がしますけど、まぁ、日本で大江戸温泉に行くような感覚ですかね。お会計を済ますとアラビックコーヒーが出てきました。これで風呂上がりの眠気もスッキリですね。

伝説のクロワッサン

ダマスカス一人歩きダハブに滞在していた時に北から下って来た旅人達が口を揃えて絶賛していたダマスカスのクロワッサン。キリスト教地区の路地裏には日本人旅行者の間で伝説的な話題になっている小さなパン屋があります。エクレアなどのスイーツ類も売っていますが、ここの主力商品であるチョコクロワッサンがバターがすごく利いていて半端なく美味しいのです。早く食べないとパンの油が紙袋に移ってしまうくらいに。しかも、ひとつ20SYP(40円位)とかなりお買い得。胃が小さめの人ならこれひとつでランチにできる大きさです。路地をかなり入ったところにあるので若干見つけづらいのですが、これからダマスカスに行く予定のある人はぜひ探してみて欲しいですね。キリスト教地区自体はそこまで広くないので、地図なしで歩き回っていても絶対に目にする機会はあると思います。何回か利用しましたが、お店の前には常に現地の人で軽い行列ができているうえに、路地裏までバターの匂いが充満しているのですぐにわかるかと。

ダマスカス食生活

このクロワッサンを始め、ダマスカスでは庶民のための食事が非常に充実している印象があります。適当に道を歩いていて買うケバブサンド(日本で言うところのラップサンド)は日々の主食になってましたし、その場で絞ってくれるフレッシュジュースもビタミン補給を口実に毎日のように飲んでいました。僕のお気に入りはマンゴーかバナナですかね、やっぱり。そして欠かせないのがジェラートです。イスラム教地区の大きなスークの中には現地でも有名なジェラート屋があるのですが、ここのミルクジェラートが滑らかで美味しいこと。スークの中を歩き回る片手に手放せないアイテムです。直前に滞在していたベイルートとは完全に違った食生活になりましたが、やはり食事はその街の中心層をターゲットとした分野が一番充実するのでしょうね。

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20th (Tue)
Jul 2010

[day111] 友人とダマスカス

レバノンでの一週間の滞在後は、改めてダマスカスに戻りです。今回は14日間の観光ビザを取得して国内をゆっくりと回ろうかと。そして何より楽しみなのが、ダハブで会ったカップルバックパッカーのシンさん&トモコさんとダマスカスで再開予定だということ。ダハブからペトラ、アンマンと一緒に旅をした後で、僕はレバノン、彼らはイスラエルと違う目的地へ向かったのですが、お互い同じ時期にシリアに抜けてくるということでダマスカス集合ということになっていました。一応、当日に僕がダマスカスに到着するのはメールで連絡済み。無事に彼らに会えるだろうかと心配しながら、安宿が集まるマルジェ広場付近でタクシーを降りて歩いていると何やらこちらに向かって手を振っている人が見えます。あ、シンさんじゃないですか。なんでも僕の行動パターンを予測して、付近でお茶をしながら待っていてくれたそうで。この突然の出迎えには正直驚かされました。

友人とダマスカスその日の晩は彼らと一緒に名物の鳥の丸焼を食べることに。一羽をまるっと回転グリルで焼かれたものが240SYP(500円弱)はとってもお買い得。宿に持ち帰って、素手で引きちぎるとグリルによって閉じ込められていた肉汁が一気に滴り落ちます。それを包み紙的に使われ、肉のうまみがしみこんだ薄いパン生地と一緒に食べるのです。シリアで食べた中では最高にウマい食事だったかもしれません。そして、そんなジューシーな鳥肉に欠かせないのは冷えたビール。僕らの宿があったダマスカス新市街はイスラム教徒の街だったので、酒屋がなかなか見つからず大変だったのですが、周囲の人に手当たり次第に聞いたところ、街の片隅に小さな酒屋を発見。お互いの旅について語らいあいながら飲むビールと言うのは格段にうまいですね。

そしてシンさん&トモコさんは翌日からはレバノン行きで一週間弱の滞在予定とのこと。どうやらここで僕のフレッシュなレバノン情報が役立つ時が来たようです。彼らからはエルサレムの宿情報などイスラエルに関する情報を色々もらうことができました。こうやって旅仲間から情報が交換できるのがまた楽しいわけです。彼らとはこのあとシリア北部のハマという街でまた再会の約束を交わしました。お互い日程は厳密ではありませんが、きっと一週間後くらいにはその街近辺にいるだろうと言うことで。そして、もうひとつ重要な情報が。「イヨちゃんが明日ダマスカスに帰ってくるらしいから、よろしくね」と。

イヨちゃんもダハブで会ったメンツの一人で、イスラエルに行くために僕らよりも早くダハブを発っていたのですが、なんとその後アンマンで偶然合流。僕とはダマスカスまで来て一緒に中華を食べた仲です。ふたりを見送ったあとで、彼女が滞在しているはずの旧市街の宿を訪ねて行ってみると今は留守中とのこと。仕方がないので旧市街イスラム地区名物のアイスクリームを片手に街をぷらぷら散歩していると、目の前から見慣れたアジアンファッションの小さな女性が。お互い「あっー!」と叫んでいます。ダマスカスという街自体はかなり大きいのですが、僕らのような余所者が歩き回る場所は限られているので、意外とあっさり出くわしてしまうようです。

少し立ち話をしたところ彼女はシリア国内をぐるっと回ってダマスカスに戻って来たところで、翌朝のフライトで日本に帰国するそう。彼女の半年間の海外放浪もいったんここで終了です。そこで彼女の海外ラストディナーをご一緒するという光栄に預かることになり、旧市街のキリスト教地区に少し洒落た洋風レストランに入ってみることにしました。キリスト教地区には細い路地裏に隠れ家的なレストランが点在していて、現地の若者がも多く利用しているようです。

友人とダマスカスメニューが渡されると、何やら彼女が目をシロクロさせています。どうした?と聞いてみると、彼女のメニューには値段が書かれていないと。そうきましたか。これは「値段を気にせず好きなものを頼んでね?」というお店からゲストへの心遣い。当然、僕の方にはしっかりと数字が書かれています。まさかダマスカスでこれをされるとは思っていもいなかった。はい、今晩は奢らせてもらいます。まぁ、もとからその腹づもりではいたのですけどね。アラカルトの洋食とカクテル数杯(非常に残念ながらノンアルコールオンリー!)を飲んでも、レバノンでの食事よりも安いのですから問題なしとしておきましょう。

食事中や散歩中に彼女からはシリアのお勧めスポットや宿情報を色々と教えてもらいました。そして不要になった地球の歩き方ヨルダン/シリア/レバノン編をゲット!僕は基本的にガイドブックは持ち歩かない主義なのですが、ネットでの情報が頼りないこの地域では紙の情報というのはとても便利そうです。それにしてもこうやって見知らぬ国で友達と出会い、また再会するという行為はかなり面白いですね。今更ながらダハブで沈没しておいてよかったなぁと。あそこで出会った人たちとはこれからも色々な場所で再会する気がしています。

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