宿情報

Entry Info

イスタンブールは前回の冒頭にも書いたとおり、アジアとヨーロッパの合流点、つまりユーラシア大陸を旅する旅人達が一堂に会する場所でもあるのです。そいう土地柄なので安宿の数もかなり多く、数が多ければ競争原理が働いて宿のクオリティも上がる、ということになります。実際、hostelworldで検索すると、85点以上の高評価を得ている宿が目白押しです。経験上85点以上ならまず外れることはまずないのですが、こんなに多いとさすがに目移りしちゃいますよね。そこで今回はここイスタンブールを例に僕の安宿の選び方を説明してみようと思います。

まず、部屋の形態はコスト的にドミトリーで問題なし。4人部屋くらいが落ち着いていていいのですが、あまりにも値段に差が出るときは大部屋も検討します。そして重要なのはできればミックス(男女一緒)部屋を選択すること。もともとミックスしか設定のない宿ならなお望ましい。これは何も可愛い女の子と同じ部屋で寝たいなどという下心があるわけではないですよ。大丈夫、好みど真ん中の女の子が同室になることなんてまず無いですから。では何故ミックスを選ぶかというと、いびきのうるさいおっさんを避けるためです。公害並みにうるさい人、結構いますからね。耳栓すらも無力化する大音量とか。対して女性でいびきをかく人は殆どいないので、夜はとても静かで寝安いんですよ。

続いて一番重要なレーティング要素を。まず最初に気にするのはStaffですね。僕は安宿の一番の肝はスタッフだと思っています。建物や設備のようなハード面はコストと直結してしまうので普通のホテルに敵わないのは当然ですが、スタッフの態度などソフト面ならその場で働いている人たちの工夫でどうにでもなりますから。以前も書いている、バンコクのNiras Bankoc、ギョレメのYashin's Backpackers Cave Hostelなどもそうなのですが、親切な安宿のスタッフはとてもフレンドリーに旅人の相談に乗ってくれていました。ある意味、バックパッカー向けのコンシェルジェ。態度は若干フランクではありますけど、超一流ホテルの提供するパーソナルなサービスにも劣らない親切さです。

次はCleanness。安宿は汚くて当然と思われているかもしれませんが、意外と綺麗なところも多いんですよ。しっかりしているところは専任のスタッフが一日中掃除をしています。豪華と清潔は全く異なる要素。シンプルなベッドだけの部屋でもきちんと清掃されている宿は暮らしていて居心地がいいです。こっちが寝ていようと昼前には掃除のおばちゃんが部屋に入ってくるのはご愛嬌。放置されて部屋が汚いままよりずっといいです。

Locationは街の性格によりますね。小さな街である程度のエリアが徒歩圏内なら街の真ん中や駅の近くにある方が便利でしょうし、どこに行くにも公共交通機関を利用しなくてはいけない場合は、多少中心から外れていたとしても他の条件を満たすことを優先した方が安くていい宿をとれる気がします。イスタンブールの場合は、新市街と旧市街に別れていたので、各エリアでアクセスがなるべくいいところを選ぶようにしました。

レーティングで最後に外せないのは、Funの値が低めであること。低い方がいいって意外ですか?これは客層の問題なんです。欧米出身の若い旅行者は日本人の旅人とはかなり傾向が違っていて、旅行に来たら騒いでなんぼという人達がすごく多く、彼らと話をしていると大体その街のナイトクラブとかパブの話がメインになります。Funの値が高い宿は往々にしてそういう騒ぐことが大好きな人が集まるパーティ宿のケースが高いのです。時にはスタッフが率先して宿泊客を地元のバーに案内してくれることもありますよ。でも、単に酒を飲んでバカ騒ぎをすることは僕の趣味ではないですから。こういう人達を避けるために、敢えて「楽しくない」宿を選ぶことも多いです。そうした結果、純粋に旅を楽しんでいる人たちに出会え、彼らと杯を交わしながらのんびりと語りあうなんてことも発生したりします。

宿泊者からのレビューは参考程度に。高評価な文章は気にしないのですが、定評かな内容はしっかり読みましょう。偶然何かが壊れていたとか、オーバーブッキングされていたとかはたまにあるので仕方がないと思うのですよ。ただ、スタッフの態度が悪かったとか、物が頻繁に盗まれるというようなレビューが直近に頻発していたら要注意ですね。

価格に関してはそれほど気にしていないです。そもそもhostelworldから見つけるドミトリーの部屋なら安さは十分なので。おそらく、このブログの読者の方は理解されていると思うのですが、最安値を狙ってオンボロのところに行くならば、多少余計に払うことになっても評価の高いところに行きたいというのが僕の旅のスタイルなのです。言うならば、僕はファーストクラス バックパッカーなので安宿でもファーストクラスなところを取るよということで。

そんなわけで、僕がイスタンブールの宿として決めたのは、Chambers of BohemeAgora Hostelという二ヶ所です。hostelworldで詳細を見てみると、上記の検討プロセスにうまくマッチした宿だということがわかると思います。宿泊してみた結果もまさに僕の狙い通りの宿で両方とも清潔で落ち着いた雰囲気。どちらも甲乙付け難しですね。

新市街のメインショッピングストリート、イスティクラ通りから一本だけ入ったところにあるChambers of Bohemは名前の通りボヘミアンなデザインで一階と二階はお洒落なカフェスペース。朝食はそのカフェで出される美味しいコーヒー付でした。食べ物の持ち込みは残念ながら禁止でしたけど、カフェに置いてあるクラシックなソファに腰掛けながらPCを使えるのもポイント高し。

対して旧市街の裏側に位置するAgora Hostelは最上階にあるオーシャンビューのテラスが自慢。朝食はその最上階で取るビュッフェ形式で、パンやシリアル、ゆで卵といったベーシックなものだけでなく、数種類のハムや自家製のブラウニーまである豪華さ。この一帯は安宿が集まっているエリアらしく、付近にはお手頃価格のレストランも多かったです。

一口にドミトリーの安宿と言ってもいろんなキャラクターがありますよね。前回紹介したような日本人宿だったり、朝までバーが空いているパーティー宿だったり、お洒落なブティックホステルだったり。自分がどんな宿が好きかというのをしっかり把握しておくと、ハズレを引くことが少なくなってくると思いますよ。そして、敢えて自分の趣味じゃないところに挑戦してみるのもまた一興だったりします。特にヨーロッパはhostelworld的激戦区なので、いろいろな宿があって楽しいですよ。

Entry Info

アジアとヨーロッパの掛け橋、その言葉が文字通り当てはまるのがボスポラス海峡にまたがって広がるトルコ最大の都市、イスタンブールです。当初の日程ではギョレメからパムッカレという石灰棚と温泉で有名な保養地を訪ねることも考慮に入っていたのですが、当時は完全な観光地をハイテンションで過ごすというよりも、むしろ都市型の生活でのんびりしたいという気持ちの方が強く、シンさん&トモコさんと一緒にイスタンブールを目指すことにしました。ギョレメから夜行バスに乗って10時間程度、街のシンボルとも言える巨大なモスクの尖塔が見えてきたときにはかなり興奮しましたよ。

イスタンブールはボスポラス海峡を境にアジア側、ヨーロッパ側と別れています。多くの歴史的見どころが集まっているのはヨーロッパ側の南側、金角湾によって隔てられた旧市街エリアです。その北側にある新市街は近代的なビルとショッピングエリアが広がった大都会になっています。計画段階から楽しみにしていて街だったということもあり、事前に新市街と旧市街でそれぞれ5泊ずつ、合計10日間の宿をhostelworld経由で予約していたのですが、やや前倒しで到着してしまったので繋ぎの宿を確保しなくてはいけません。そこで、今回は中東を巡る日本人バックパッカーの常宿となっているツリーオブライフというところを利用してみることにしました。

ブルーモスクから徒歩10分弱、トラムの走るメインストリートから一本入った雑居ビルの中にツリーオブライフはありました。薄暗い階段を上って4階のレセプションまで行くと、そこは絵に描いたような典型的な日本人宿。本棚には地球の歩き方と漫画がギッシリで、どの時間に行っても誰かがタバコをふかしながらそれらの本を読み漁っています。ちなみに、ここで働いているスタッフの人は正規雇用者ではなく、長期滞在している人が宿代(+お小遣い)と引き換えに住み込みで「管理人さん」をやっているようです。オーナーさんは別のところに住んでいてたまに顔を出す程度とのこと。実は法的にはグレーゾーンらしいのですが、宿代を節約したい貧乏旅行者と、人件費を節約したいオーナーさんとのウィンウィンソリューション。ビジネスモデル的にはありかもしれません。

このツリーオブライフの魅力は何と言ってもその安さ。ドミトリーが1泊8ユーロというのはイスタンブール価格としては激安の部類に入ります(ちなみに後日滞在することになるhostelworld経由で予約したところは1泊15ユーロします)。しかも、同宿の日本人同士で一緒に自炊してしまえば生活費は更に劇的に下がってしまうわけで。滞在費を出来るだけ低く抑えたい貧乏旅行者には最適の宿と言えるのではないでしょうか。しかも、世界中の地球の歩き方が揃っている上に、運が良ければその足で実際に旅してきた人たちも滞在している可能性があるのです。今後の旅のプランを練るにもよさそうですね。

ただ、僕自身は正直なところ宿に流れている雰囲気がちょっと苦手でした。言い方は悪いかもしれませんが、淀んでいるというか、日本人の旅人の特徴的な人生に退屈したグダグダな感じが漂っているのです。ダハブのセブンヘブンは、ダイビングに夢中な人が殆どで潜らない人たちも毎日の暮らしを楽しんでいたのですが、このツリーオブライフでは「ヒマだ、今日は何をしよう」的な会話が聞こえてくるんですよね。面白そうなことはそこらへんに転がっているにも関わらず。まぁ、直接話してみればいい人たちが多く、よく話に聞く「偉そうな古株」な人はいなかったので、表面上の人間関係はスムーズでしたけど。ある意味これも日本人的。あとは、お世辞にも清潔といは言えないところも僕にはマイナス。激安宿なので文句を言えないところではあるのですが、プロじゃない管理人さん一人に清掃まで任せておくには限界がありそうです。

それでも、これは単に僕の嗜好と合わなかったのが問題というだけで、安さとか日本人の仲間、情報に重きを置いている人たちには、ツリーオブライフはかなりアリな選択肢になると思いますよ。僕自身、最終日はひたすらスラムダンクを読み続け、一晩で全巻制覇とかしてしまいましたし。こんな外国まで来て日本の漫画を読み耽っているなんてかなり不思議なシチュエーションなのですが、ある意味日本人宿を満喫したと言っていいのではないかと。

では、僕がhostelworldで見つけた宿はどんなところか、という話はこのエントリーが長くなりつつあるので、次回に続きます。せっかくなのでhostelworldの利用に対するティップス的な内容も書いてみますね。

Entry Info

カッパドキアでの道ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群は、世界遺産の中でも珍しい複合遺産(自然/文化両面で人類の宝と認定)という指定を受けています。ギョレメの街の周囲には奇岩が立ち並び、まさに異世界と形容するのがふさわしい光景。なんでも一部はスターウォーズエピソード1のロケ地として使われたこともあるとか。確かに写真だけ見せられたらどこかの他の星と言われても信じてしまうかもしれません。地元の人はこの奇岩をくり抜いた洞窟に近代まで住んでいたらしく、今でも至る所に住居の跡地としての洞窟が存在しています。

ギョレメでの宿

カッパドキアでの道そしてこの奇岩の中に泊ることができるのがこのギョレメの面白いところ。しかも、一般観光客向けの高級ホテルだけでなく、バックパッカー向けの安宿もいくつかあります。今回、僕らが泊ったのは例によってHostelworldで見つけたYashin's Place Backpackers Caveというところ。一緒に行動していたシンさん&トモコさんは予約なしだったのですが、オーナーのヤシンさんに相談したところ空いていた3人部屋を僕らに充ててくれることに。ヤシンさんはギョレメの街で生まれ育っているので、何処に行くにも彼に聞くとすぐにお勧めの場所を教えてもらえます。レストラン、観光ツアー、ハマムetc、彼のアドバイス(ディスカウント付!)には相当助けられました。毎朝調理された卵料理がついた美味しい朝食が付いて一人当たり20TRY(1300円位)というのはかなりお得だったかと。確かに部屋のクオリティや清潔さは一般のホテルにも劣りますが、パーソナルなサービスやホスピタリティは五つ星ホテルにも勝るものがあると感じました。

5月初旬のカッパドキアは気候が不順なため、トルコ国内としてはやや閑散期だそう。宿には僕ら以外に数組の欧米人がいるだけでしたし、ギョレメの街自体もそこまで賑わっている風には見えませんでした。しかし、何故かやたらと見かける日本人客。それもバックパッカー風ではなく、巨大な観光バスに乗ってプール付きの岩窟ホテルに入っていくようなグループが何組も。さすが日本人が大好きな目的地だなぁと思っていたら、どうやら当時は日本のゴールデンウィーク真っただ中。なるほど、そりゃ日本人の姿が多いのにも頷けます。長いこと旅行していると日付の感覚が薄くなってくるので気をつけなくてはいけません。

パックツアーのいいところ、苦手なところ

カッパドキアでの道僕自身は、パックツアーってちょっと苦手なんですよね。まぁ、そもそも団体行動ができないから気ままな一人旅をしているという事でもあるのですが。しかし、このカッパドキアというエリアはかなり広大で、ギョレメから数十キロ圏内に点在している見どころを見て回るにはツアーが一番ということで、久しぶりに参加してみたのです。でも案の定というか、結果は正直ちょっと微妙でした。確かに、有名な地下都市や修道院など個人では行きづらところをガイドによる案内で効率よく回れたのですが、この「ガイド&効率」というのが非常に問題で、個人的にはもっとゆっくりしたいところで急かされ、どうでもいいところで時間を取られという内容。まぁ、グループ全体の最大公約数的な時間配分になってしまうは団体旅行の宿命なので仕方ないですよね。ただ、詰め込み過ぎなツアーは避けるべきというのを痛感しました。おそらく、理想形は中東でやったようにタクシーを一日チャーターして、各所の入り口まで連れて行ってもらうことだとは思うのですが、バックパッカーの予算的にそれが許される場所ではなくなりつつあります。

僕に適した旅行スタイルは

カッパドキアでの道そこで、近場に関しては別の日にピクニックがてら自分たちで行ってみることにしました。効率無視の一点狙いなら行けるはず。宿で教えてもらった現地のバス情報とガイドブックに載っているざっくりとした地図だけが頼りです。近場らしいバス停で降りたら、周りに聞き込みつつ旅人の感を頼りにしながら歩く方向を決めました。完全に一人旅の場合、こういった僻地での冒険的な歩き方には若干の不安が付きまとうものなのですが、気の合う同行者がいると道に迷っている状況ですら楽しくなります。そういう意味でカップル二人旅というのはかなり羨ましい旅行形態ですよね。まぁ、たまには試練もありそうですが僕の知っている人たちはふたりの距離感がちょうどよいカップルが多く、みな楽しそうに旅行をしていました。彼らに言わせてみれば僕のような「3人目」が入ってくるのがいいスパイスにもなるようで。

カッパドキアでの道荒野の中に立ち並ぶ奇岩を横目に歩き続けること1時間程度、よくやく目指していた場所に辿りつくことができました。カッパドキアと言えばこの写真と言っても過言ではないくらいに多くのガイドブックに登場している、このキノコ岩。異なる地層が浸食の影響で云々という話もどこかで読みましたが、そんな話はどうでもよく。ギョレメの中心地とはまた違った岩の形に僕ら3人は釘づけでした。ちなみに、僕らはどうやら正規の舗装された道路ではなく地元の農道のようなところを辿ってきてしまったようなのですが、まぁ、これも気楽な個人旅行だから出来ることですよね。旅行とは目的地を堪能するだけのことではなく、到達するまでの過程も含めての旅行なのだという事をこの旅の間に強く感じています。

カッパドキアでの道帰り道はバスがなかなか来なかったので、果敢にも歩きにチャレンジ。まぁ、バスで15分程度の一本道なら1時間半くらい歩けば着くだろうと。眺めもそこそこにいい場所なのでのんびり歩くのも悪くないかと。5月の太陽が照りつける中、30分くらい歩いていると何もしていないのに現地のお兄ちゃん二人組の車が横に停まりました。片言の英語で「どこ行くの?乗せってってあげるよ」と。めちゃくちゃいい人だー。「ギョレメなんだけど」と言うと、乗ってけのサインが。おかげで残り1時間程度を歩かずにすみました。これも僕一人なら乗ることに若干躊躇してしまうのですが、こっちは3人、向こうは2人。場所柄から考えても危険度は少ないという判断ですね。たまに危なっかしい匂いもしますけど、こうやって旅の途中で地元の人の小さな優しさに触れた時にはほんとに嬉しくなります。

そんなこんなでギョレメには5日間ほど滞在していました。次の目的地はヨーロッパとアジアのかけ橋、イスタンブール。ついに世界一周、中東旅行編も終盤ですね。

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