Aug 2010
[day117] シリア遺跡ツアー
シリアは紀元前から人が住み、旧約聖書の主要な舞台となるほどの歴史のある国です。しかも、そこまで開発されていないため観光客が他の国に比べて少ない場所が多数。今回はダマスカスとパルミラ滞在中に回った遺跡をまとめて紹介します。
パルミラ遺跡
ダマスカスの滞在中には一人バスに乗ってパルミラ遺跡というところへ。ミニバスでバスターミナルまで行き、そこからパルミラへ3時間くらい。ここはシリア中部では最大級の遺跡で、今でも3世紀ごろに建てられたローマ様式の建物が色々と残っています。巨大な神殿や、保存状態のいい円形劇場、柱の続く道などなど、いろいろなタイプの遺跡を見ることができる、一粒で何度も美味しい場所と言えるでしょう。遺跡の規模の割に観光客の数はそこまで多くもなく、のんびりと写真を撮って周ることができました。
神殿の中を歩いていたら現地の小学生らしきグループに声をかけられました。一緒に写真を撮ってくれと身振り手振りで伝えてきます。ルクソール編でも書きましたがこの地域の子供たちにとって僕らのような東アジア系人種はかなり珍しいみたいですね。僕もカメラを向けてみたら大混乱。そしてそれを笑顔で見守る先生。なかなか微笑ましい光景でした。でも現地の子供でも物売りの子たちは要注意ですよ。彼らの辞書には「Buy this」「Give me」しかありませんから。残念なことに、純粋で曇りのない瞳と売り物になってしまった瞳の違いはかなり見分けられるようになってしまいました。帰国後、日本の子供たちの目はどんな風に見えるんでしょうね。
シリア北部プライベートツアー
シリア北部の遺跡群巡りにはハマのリアドホテルで手配してもらったプライベートツアーを利用することにしました。シンさん&トモコさんともう一人同宿の日本人のおじさんと一緒です。8時間程度の行程で三か所の遺跡をぐるっと回るツアーが一人当たり700SYP(1400円位)なら全く問題ないかと。一応、ローカルのバスで行く方が安くは上がるようなのですが、その差はごく僅かなもので時間の節約にもなるので今回は楽をしてしまいた。チャーターなら、バスの時間を気にする必要もないですし、車の中でも音楽を流したりしながらリラックスできますからね。同行者がいるのならばプライベートツアーはかなりお得かと。
アパメア遺跡
最初の目的地はアパメア遺跡。シリア中南部最高の遺跡であるパルミラに対して、北部のアパメアという扱いらしく、延々とローマ様式の柱が立ち並んでいます。その距離、なんと約2キロ。これは興奮、、しなかったのです、残念ながら。だって同じようなのをパルミラでも見ているので。写真を見返すと石の材質とか植生とか色々と違いが見えて面白いのですが、現場ではそんな細かいことはよくわからず。基本は柱だけであとは「浴場跡」「図書館跡」という名前の瓦礫のみ。どちらかしか行けないというのならば僕は間違いなく保存状態がよく種類も豊富なパルミラを推しますね。
マスヤーフ城
続いて向かったのはマスヤーフ城。リアドホテルのおっちゃんの話だと、かなり保存状態もよく、シリア観光の穴場的な城だということだったのですが僕らの反応は「あー、城だねぇ」と。多分、ここも旅行初日に来ていたらもう少し違う反応ができていたのでしょうが、既に完全な不感症になってます。そして、ここでもローカルの子供たちの遠足グループが登場。しかも、今回は城塞のため道が狭いのです。子供たちからは声援が送られ握手をせがまれ、どこぞのスーパースターがコンサート後に通る花道の様相を呈してました。SP、もとい先生の制止も聞かず手を伸ばしてきます。まぁ、これも純粋な好奇心から来るものなので不快ではなかったのですよ。なかなか面白い経験をさせてもらったということで。
天空の城、クラックデシュバリエ
そして最後の目的地は、天空の城ラピュタのモデルになったと旅人達に噂されるクラックデシュバリエです。僕らの間でもこのクラックデシュバリエがハマ発のツアーにおける一番の目的地になっていました。前のふたつはいわば前座です。城に向かう車の中ではiPhodの中に入れておいたラピュタのテーマを聞いて気分を高めました。今更ながら「君を乗せて」は旅人向きの歌詞ですよね。標高600mの小高い山の上に堀まで作ってしまった西洋式の城塞は、かつては難攻不落の要所だったとか。青い空とツタの絡まった城壁のコントラストは確かにラピュタっぽい雰囲気を醸し出してますね。ただ、どちらかというとラピュタというよりシータが囚われていたムスカの要塞の方が佇まいとして近いかも。城からの眺めも勿論、タクシーの運ちゃんが連れて行ってくれた城を一望できるスポットからの眺めも素敵でした。
城壁の周りを歩きながら散歩して、中に入ったら何故か甲冑をまとったり、後ろ手にロープに繋がれたりした人々が。観光地的な余興でもされるのかと一瞬嫌気が差したのですが、実はこれ、ローカル映画の撮影中でした。でも、ここはシリアなのに何故か衣装はエジプト風だったり、門の前にスフィンクスが置かれていたりして、一部雰囲気ぶち壊しだったことは否めないのですが、まぁ、なかなか見ることのできない光景であることは確かなのでよしとしましょうか。
中東の遺跡を見て回って
楽しい旅行記であるはずなのに、若干旅行に対してネガティブなイメージを出してしまったかもしれません。でも、これが僕の意図していた旅のスタイルでもあるのです。短期の旅行だと見る物全てが目新しく、ガイドブックの隅々まで制覇しようという気になってしまうものなのですが、長期旅行だとそのテンションをずっと保つのはかなり難しく(たまに常にハイテンションを保たれている方もいますけど)、中途半端なことはどうでもよくなってしまいます。でもそんな精神状態だからこそ「ハンパない」ことに出会えた時の感動はかなり大きいのです。例えばペトラやカルナックを初めて見た時の興奮は今でも忘れられません。あの鳥肌が立つ瞬間が好きで僕は旅をしているのでしょう。
では、このエリアも十分に堪能したので、そろそろ次の国、トルコに向かう事にします。
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