旅行記

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あぁ、またやってしまった。どうやら、搭乗時刻とゲートクローズの時間を完全に勘違いしていて飛行機を乗り逃がしてしまったようです。さらに間の悪いことにルフトハンザは翌日からストライキを控えていて空港は大混乱中。ゲート係員からのアドバイスに従って、チケットオフィスに確認に行ったところ大行列ができていました。ビジネスクラスのプライオリティーレーンでも、自分の番が来るまでおよそ2時間。全く自慢できることではありませんが、ご存知のようにトラブル慣れしている僕ですので、その間に冷静に問題点を洗い出しました。

何はともあれ、気になるのは乗り逃がしたフライトです。以前、格安航空券で乗り逃がした時にはフライト自体が無効になってしまったのですが(あの時、もう2度とこんなヘマはやるもんかと心に誓ったのに!)マイルの特典フライトの場合はどうなるのでしょう。そしてフライトと同じくらいに気がかりなのは、チェックインしていた荷物です。もし、僕を置いてカイロまで飛んで行ってしまったとしたら確保する手筈を整えるのが大変そう。そして細かいことがもうひとつ、カイロの宿に頼んでいたピックアップサービスもキャンセルしなくてはいけません。

チケットカウンターに最初の二つの質問をぶつけたところ、特典フライトに関しては僕の代理店(Agent)でないとわからないというご回答。「そもそも代理店って何?」というレベルだったのですが、「代理店は代理店だよ」という返事しか返ってこず。荷物に関しては僕が搭乗しない限り、荷物も積まれないようなシステムが整っているらしく、カルーセルまで送ってもらえる手筈を整えました。とりあえず、これで金銭的な被害は最小限に抑えられそうな見通しが立ったので一安心です。

カルーセルの前で荷物を待つこと1時間以上。その待ち時間の間にKindleのネット機能を利用して、カイロの宿に緊急キャンセルのメールも送っておきました。まさかホントにKindleがネット端末として役に立つ時が来るとは。荷物を回収後「代理店」の謎を解くべく再度ルフトハンザのチケットオフィスに並びます。今度は1時間くらいで順番が回ってきて、しつこく質問を繰り返したところ「キミがこの特典フライトを予約したところだよ」との回答が。あぁ、なるほどANAのことですか。

そうとわかればここはフランクフルト空港、ANAのカウンターに直行です。しかしながら、カウンターでは特典フライトの詳細については取扱できません、コールセンターにご連絡くださいとの冷たいお答え。とりあえず欧州コールセンターの番号を教えてもらい空港内の有料wi-fiからスカイプに接続です。

そしてやっと繋がったANAコールセンター。担当者さん曰く、マイルのフライトでも空きがあれば代替フライトは用意できますとのこと。具体的にはビジネスなら8日後、さらにファーストでも10日後なら空きがあることが判明。おぉっ。僕はフライト無効という最悪の事態まで想定していましたから、災い転じて福と成すとはまさにこのことかと。もともとスケジュールなんてあって無いような旅ですから10日後のファーストまで喜んで待たせていただきますとも。一度は霧散していたルフトハンザ ファーストクラスターミナルの夢、復活です。

カイロの宿からも「気にしなくていいから、新しいフライトが決まったら教えてね」というお気楽なメールやってきまして、これで発生した問題は全て解決してしまいました。飛行機を乗り逃がしたというのに実質、被害ゼロとは。残すところの懸案事項はこの不意にやってきたヨーロッパでの10日間をどのように過ごそうかということですね。ドイツやスイスなど近隣の友人のところに押しかけようかというアイディアもあったのですが、よくよく考えたら翌日からアムステルダムでFITC(Flash関係の大型イベント)が行われるじゃないですか。これは、もう神のお導きとしか言いようがありません。

その場でLast Minutes Ticket Centerというギリギリの当日券を専門に扱うブースに駆け込み2時間半後のアムス行きフライトを確保。ターミナルで待っている間にネットで宿を手配したり、既に現地入りしている日本人のみなさんに連絡をしたりして、最終的にANAに電話した4時間後にはアムステルダム国際空港に降り立っていました。毎度のことながら、転んでもただでは起きないなぁと変なところで自画自賛です。

しかしフランクフルトでチェックインし直した荷物が待てども待てども出てこない。ついにカルーセルが止まってしまい、人生初のロストバゲッジ確定です。なんでこうドタバタなのかと。一応、カメラなどの貴重品類は機内に持ち込んでますし、エコノミークラスの重量制限対策で暖かい服を身にまとっていたので、最低限は何とかなりそうですが、見知らぬ街で荷物なしは心もとないですよねぇ。「2,3日以内には大体見つかると思うよ」という係のおねぇさんの言葉を信じその日は宿に向かうことにしました。

結局宿に到着したのは深夜過ぎ。ほんと長い一日でした。

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2nd (Sun)
May 2010

[day51] Dubai to Cairo?

ドバイはバックパッカーの財布にはかなり厳しいので滞在は3日だけ。一旦、ロンドンに戻ってからフランクフルト経由でカイロへの移動です。なぜ、ドバイからカイロへ直行しないかというと、中東&ヨーロッパの周遊をワンワールド世界一周航空券ではなく、ロンドン発のスターアライアンス特典フライトで行う予定なのです。大半がいわゆる陸マイルというやつですが、3年間でANAマイルを90,000マイルほど貯めることに成功しまして、ロンドン→フランクフルト→カイロ→(陸路での独自移動で)イスタンブール→テルアビブ→フランクフルト→リスボン→ロンドンという行程をファースト扱いで抑えることができました。まぁ、実質ファーストの設定があるのはフランクフルト→カイロとテルアビブ→フランクフルトの2区間だけですが、いいのです、フランクフルトでルフトハンザのファーストクラスに乗ることがこの旅程の最重項目なのです。

というのも、実は僕のこのファーストクラスに乗ってみたいというアイディアを思いつかせてくれたのが、ルフトハンザのファーストクラスなんですよ。3,4年くらい前に東京でルフトハンザのサイト制作に関わっていたことがあるのですが、その際にルフトハンザのファーストクラスターミナルという施設に衝撃を受けたことが全ての始まりなのです。

ルフトハンザのホームグラウンドであるフランクフルト空港には、ファーストクラス搭乗者専用のターミナルがあって、出国審査もパスポートを預けたらあとは殆どアシスタント任せ、高級レストラン並みの食事を堪能していると、搭乗時間になったらアシスタントが呼びに来てくれて、専用リムジンで飛行機まで連れて行ってくれるという、至れり尽くせりのサービスを提供しています。いつか、こんな世界を味わってみたい、そんな思いが仕事中に芽生え、スターアライアンスのマイルをクレジットカードで貯め始めたのですが、ちょうどいい具合に目標マイルまで到達したので、この機会に使ってしまうことにしました。

が、しかし、このフライトのひと月ほど前、ちょうど僕がメルボルンにいるころにANAから不吉な電話が。なんと、機材の関係で僕の乗る日のカイロ便だけファーストクラスの設定がなくなってしまったと。おかげで、自動的にビジネスクラスに格下げです。しかも僕の場合、マイル特典フライトで他にもファーストクラス区間があるため、払い戻しのようなことも発生せず。ルフトハンザに「せめてターミナルだけでもファースト使わせてよ」と交渉のメールを送ってみたものの「ルールですのでダメです」との冷たい返事が。10日くらいスケジュールをずらせばファーストクラスにも乗れるらしいのですが、ドバイに追加で10日はかなり厳しい。泣く泣くダウングレードを受け入れました。

とりあえず、ドバイからロンドンへはブリティッシュ エアウェイズのファーストクラス。ただし、深夜のフライトだったので、またもや何も食せずに就寝。どうにもBAファーストの食事には縁がないようですね。まぁ、9月にロンドンから北米に移動するときもBAなので、その時にはきっと長距離フライトを楽しめることでしょう。

そして、ヒースローからフランクフルトへ移動後は、20時間の超ロングトランジット。ファーストクラスラウンジ&ターミナルを使えると見越して長めの接続をとっていたのですが、まさかのダウングレードでビジネスクラスラウンジ行きになるとは。それでもフランクフルトのルフトハンザビジネスクラスラウンジは、彼らの本拠地のだけのことはあり、広くて設備も充実。wifiが有料(しかも1時間8ユーロと高額!)なのと、かなり混んでいることさえ我慢できれば意外と快適に過ごすことができました。

ラウンジが閉まる深夜帯はターミナル内で仮眠しつつ、ようやく迎えた搭乗時間。チケットに書かれた時間を確認しながら、少し離れたゲートに到着すると、なぜか誰も人がいない。近くの係員に「あれ、カイロ行きのフライトは?」と聞いてみると「もう出ちゃったよ」とのお返事が。

な、なんですと!?

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22nd (Thu)
Apr 2010

[day48] ドバイの繁栄

ドバイの繁栄厳しい税関を突破しなんとか入国できたドバイ。ちなみに、ドバイの安宿はhostelworldで殆どヒットしなかったため、hotels.comで一泊10000円クラスのところを利用してしまいました。探せばもう少し安いところもあるのですが、どうせ費用がかさむのならば多少でも評判の良いところにしておこうかということでユーザーレビューの評価が高かった、Xclusive Hotel Apartmentsというところに決定。ここは長期滞在者用のサービスアパートメントとして使用されているようで、1LDK、キングサイズベッド付というのはこの旅の中でも最高スペックの宿になりそう。更に、空港までの無料送迎サービスや滞在期間中のwi-fi接続まで付いてきていたので、ドバイの価格帯としてはかなりお得な方かと。まぁ、バックパッカーが気軽に来れるところではないことは確かなのですが。

ドバイの繁栄さて、やって来たはいいものの、例によって現地で何をするかは完全にノーアイディア。宿のフロントに近場で何か面白そうなところない?と聞いてみると、ドバイモールに行ってみたら?と返ってきたので、タクシーに乗って行ってみることにしました。日本並みに物価の高いドバイですが、タクシー代は20分くらい乗って20AED(600円弱)となかなか割安。中心街を通るタクシーの窓から見えるカラフルで奇抜なビル群はまるでシムシティの世界のよう。

ドバイの繁栄そしてやってきたドバイモール。ドバイ最大のショッピングモールということでとにかくでかい。デコレーションの感じや店舗の作りなど、六本木ヒルズやビーナスフォートなど森ビル系のコンプレックスに近い雰囲気を醸していましたが、スケール感が桁違いです。建物の中に映画館はもちろん、スケートリンクや水族館まで入っていて、一日で全体を回りきるのは難しそう。世間では「ドバイショック」などと言われていますが、少なくともモールの中はそれなりに景気が良いようで、観光客やアラブの民族衣装をまとった現地人などで賑わっていました。

ドバイの繁栄モールから一歩外に足を踏み出すと目の前に現れたのは、世界一高い建築物、ブルジュ・ハリファ(旧称ブルジュ・ドバイ)。今年初頭に落成式をしたらしいのですが、まだ外側の工事は続いていました。このタワー、今まで見てきた高層ビルとは高さのレベルが違います。800メートル200階建てということなので、東京で一番高い東京ミッドタウンの3倍以上、iPhoneのカメラではどんなに離れても全体像を納めることができないほど。まぁ、この状況を期待して広角レンズ&三脚を持ち込んでいたので、たっぷりと撮影タイムを楽しませてもらいましたが。見物客が多く構図を決めるのに苦労もしましたが、何枚かお気に入りの写真も撮れました。

さて、ここドバイで街を歩いたりAdobe Edgeのインタビューで現地の制作会社を訪れたりして考えさせられたのは実は政治のあり方です。ドバイはアラブ首長国連邦のひとつ、つまり、アラブの王様の国です。僕は日本の学校教育で、小さなころから民主主義政治の素晴らしさを教育されてきましたけど、ここにいると専制政治も悪くないのではないかと、むしろある意味では専制政治の方が優れているのかもしれないと感じてしまうほどでした。

ドバイの繁栄中東の王族って、当然生まれた時から超お金持ちで、何不自由ない生活をしているんですよね。そして、自分の持ち物である国家を繁栄させていくためにどうしたらいいのかを幼少期から叩き込まれるわけで。おかげで、その国の将来に対するビジョンがはっきりしています。ドバイではインターナショナルビジネスの中心になるべく、巨大な空港やオフィス群を整備してますし、UAEの首都アブダビのクリーンエネルギーに対する巨額の投資も石油が枯渇した未来を見据えてのこと。人気投票で選ばれた政治家どうしが足を引っ張り合って、その場しのぎで八方美人なバラ撒き政策だけしかできないどこかの国の政治家たちとはえらい違いです。船頭多く人山に登ると言いますが、逆に強烈なリーダーシップが導いていく方が物事がうまく進むのではないかと。

まぁ、このアグレッシブな姿勢も豊かなオイルマネーに支えられているのは確かなのですが、この中東の国々にはいろいろと学ぶものがある気がします。

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