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6th (Wed)
Jan 2010

[day1] バンコク初夜

バンコク初夜タクシーに乗ることおよそ一時間、あまりにも小さい宿のため、運転手が全く見つけられないというトラブルに陥ったものの、車はなんとか宿に到着しました。僕の部屋は4人用の相部屋で、各個人に十分な大きさのロッカーとベッドが用意されています。holstelworldでの評価が非常に高かったところなので期待していたのですが、清掃もきれいに行き届いており、これから一週間は快適に生活が出来そう。なお宿の詳細についてはまた後日。

バックパッカーの聖地にて

とりあえず、自分の部屋にあるロッカーの中に荷物を収納したら、夕飯の時間。カオサン通りという、その手の人には有名すぎるバックパッカーの聖地的な通りまで、徒歩で15分程度とのことで、周囲の探検がてら歩いてみることにしました。周囲に点在する寺や、道をひっきりなしに走るトゥクトゥク(バイクのタクシー)に見とれていたら、あっという間にカオサン通りの入り口に差し掛かりました。

バンコク初夜そこは、まさに絵に描いたようなバックパッカーの街。極彩色のネオン、屋台で作られる怪しげな食べ物、世界中からの旅人たち、至る所から溢れ流れてくるダンスミュージック、雰囲気は以前行ったことのある香港や台北に近いものがありますが、空気の濃度が圧倒的に違うように感じました。タイ語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、韓国語、中国語、日本語、世界中のありとあらゆる言語で繰り広げられる会話が聞こえてきます。しかも、さすが貧乏旅行者の聖地、料理がものすごく安い!屋台なら50バーツ、お店でも100バーツほどあれば、そこそこのモノを食べることができます。

しかし、僕はこのあまりにも外国人向けに作られてしまっている、この通りになんだか落ち着くことができず、軽く夕飯を食べただけで宿に戻ることを決意しました。午前のフライトのせいで睡眠不足だったこともありましたし、何通か送っておきたいメールもあったのです。

奇妙な邂逅

宿への帰り道、カオサンを抜けてしばらく歩いていたところで信号待ち、小柄なオッサンが何やらタイ語で話しかけてきます。「ごめん、現地の人じゃないんで」とりあえず英語で返す僕。「あぁ、そうなのか、すっかりタイ人に見えたんでね」とオッサンが意外と流暢な英語で返します。カメラをぶら下げている僕がどうタイ人に見えたのか分かりませんが、歩く方向も同じようなので、軽く世間話をしていたところ、何でも英語の先生をされているようで、別の地方から大晦日の観光でバンコクにやってきているとのこと。名前をスチャドと言うそうです。

バンコク初夜スチャド曰く、大晦日の晩にはいろいろと祭りがあるので彼はそれを毎年見に来ているとのだそう。僕は今から宿に帰るということを伝えると「そんなのは勿体無い、一緒に寺を見てまわろう」と僕を引き止めます。これが客引きと言う奴なのかと、まずは疑ってかかってみますが、このあたりには確かに寺も多いので、少しだけ付いて行ってみる事を決意。歩いて5分くらいのところにある「このあたりで一番大きなお寺」に行くと、実際に夥しいほどのタイ人参拝客の姿が僕の視界に入ってきたのです。外国人とそれを相手に商売をしている人たちしかいなかったカオサン通りと違い、そこには確かにタイの人々の暮らしがありました。皆が必死に祈りを捧げている姿に胸を打たれます。僕も彼らと一緒になり、今後の旅の無事を仏様に祈りました。と、同時にこのスチャドというオッサンも意外と信用出来る人なのかもしれないという気がしてきたのです。今度は少しトゥクトゥクに乗って、王宮付近の祭りを見に行こうというので、さらに付いて行ってみることにしてみました。

ローカルなバンコク

バンコク初夜初めて乗ったトゥクトゥクは、蒸し暑いバンコクの夜を颯爽と駆け抜けます。トゥクトゥクは外国人に対するボッタクリで悪名高いのですが、今回に限って言えば現地人が隣にいるので、その点も安心。頬に当たる夜風が心地よく、光り輝く景色が流れて行く様を見ていると、まるで自分が小説の主人公になってしまったような錯覚に陥りそうでした。時間にしてほんの5分程度だったでしょうか。それでもこのバイクの荷台に椅子と屋根をつけただけの乗り物が、数時間前に座っていたファーストクラスの座席よりもよっぽど刺激と興奮に満ち溢れていていたことは確かです。あまりに遠くまで連れ出されそうになったら流石に逃げるか、などと心配事をした瞬間に目的地が視界に入りました。

バンコク初夜トゥクトゥク代はスチャドの奢り、帰りは僕が払うからと念を押しながら、辺りを歩いてみると、目の前には大きなカーニバルが。色とりどりのイルミネーション、山車、的屋がところ狭しと並び、売り子が何やら大声で叫んでいます。ちなみに、ここにもほとんど外国人らしい人影は殆どなく、自分だけが少しだけ浮いた存在。有名らしいタイポップの歌手が歌っているステージの脇では、大勢のタイ人たちが爆音のアンプから吐き出される音に身を任せて思い思いに体を揺らしていました。あのカオサンからの帰り道、この変なオッサンに声をかけられていなければ、きっとこんな光景を見ることもなく、宿でゴロゴロしていただけだったんだということを考えると、この奇妙な邂逅と自分の運に感謝したくなりました。

場末のキャバクラで

その後、スチャドは毎年訪れる馴染みのバーに飲みに行くとのこと。完全にローカルな場所だけど、会計はシェアでいいから是非一緒に行かないかと誘われ、少しだけならと一緒に行ってみることに。またもやトゥクトゥクに5分程度揺られて辿り着いた先は場末のキャバクラのようで、店構えからしてかなり猥雑な雰囲気。店内に入るとおねぇちゃんたち(多分オカマではない)が隣に座ってお酒をいれてくれるようなところでした。うーむ、若干危険な香りが。ただ、周りには一般のタイ人客も相当数いるので、全体が危険ということでもなさそうです。大体の予想コストを確認しつつ、スチャドがお勧めだと頼んでくれたラムコークを煽ります。そして、新年へのカウントダウンはお店の皆でバカ騒ぎをしながら。言葉もほとんど通じない異国の地でこんな年の瀬の迎え方をするなんて、出発前にはまるで想像もしていませんでした。

そして3時間程度の滞在ののち、そろそろ帰ろうかと言うことでお会計の時間。出てきた請求はお二人様合計でなんと約30,000バーツ(およそ8万円強)。おいおい、若干の覚悟はしていたけど、なんでこんなタイの場末のキャバクラが日本価格なのよ。

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JALファーストクラスチェックインカウンター僕らを乗せたリムジンバスが、夜明け前の首都高を走り抜けます。年末だということで若干の混雑を危惧していたのですが、大晦日の早朝では渋滞も全く発生せず、7時前には成田空港第二ターミナルに到着していました。空港自体にも人はそれほど多くなく、まだ受付を開始していない、チェックインカウンターの前にまばらに人が待っているだけ。僕もその一団に加わり、ファーストクラスカウンターが開くのに合わせてチェックイン開始です。

チェックイン

JALのファーストクラスカウンターはいたって普通。一部海外の空港ではソファーに座りながらサービスを受けられるところもあるようですが、今回はエコノミーと大して変わらないカウンター越しで手続きでした。まぁ、手続きと言っても荷物を預けて、チケットとパスポートの確認をするだけなので、ほんの数分で終わってしましたが。ちなみに、預け入れ荷物はこの時点でおよそ23キロ。これにPCとカメラ一式などの精密機器が機内持ち込みとして加わったとして、トータルで30キロに届くかどうかというところでしょうか。さて、これが今後どう変化していくのか。実際、おみやげ類が結構いい重さになっているので、ここを減らせればそこそこに軽くなるはずです。

ファーストクラスラウンジ

JALファーストクラスラウンジ通関も当然ながら無問題。パスポートコントロールを抜けると、ちょうど目の前にJALのラウンジエリアがあったので、免税店などは完全に無視してラウンジに突入です。これが初めての空港のラウンジエリアだったので、実はかなりドキドキだったんですよね。手前味噌ですが、ファーストクラスですよ、ファーストクラス。僕のような一般人では、今回のような裏技でも使わない限りは一生縁がなかったかもしれません。

が、しかし、入ってみての第一声は「ふーん」。いや、調度品もなかなかきれいに整ってますし、ラウンジの窓から見える飛行機はかなり壮観なんですが、なんというかプレミア感みたいなものがいまひとつ足りていないんですよね。まぁ、直前までパークハイアットなどという、プレミア感の塊のようなところにいたので、僕のハードルが相当に高かったというのも事実なのですが。ビジネスセンターに陣取り、軽く軽食などを取りながらブログの更新などをしていたらあっという間に搭乗の時間に。慌ただしく日本最後の電話なんぞをしながら搭乗口へを向かいます。

搭乗中

JAL ファーストクラス スカイスリーパーそして、ついに搭乗。優先搭乗な上にいつもと違う方向に迎えることが優越感をくすぐります。そして、感動の快適シートとご対面、と思ったら旧型のスカイスリーパーというタイプでむしろ拍子抜けという結果に。実は事前にJALのページの運行情報を確認していて、このタイプになることは知っていたのですが、それでも最新鋭のイメージが強かったので、現物を見ると物哀しさが漂ってしまいますよね。まぁ、そんないかにもファーストクラスのシートは今後のお楽しみということで。ちなみに、来月に乗る予定のシドニーロンドン間はカンタスのA380ファーストですよ。これは絶対にスゴそうだ。

まぁ、文句ばかりが続いてしまいましたが、実際、シート自体は普段のエコノミー席とは雲泥の差の広さでかなり快適。窓もひとつの座席に3,4個はあろうかという配置で、当然、シートはフルフラットまでリクライニング可能。昼間のフライトだったので完全に倒しはしませんでしたが、足を伸ばして仮眠ができたのので、大分疲れが取れた気がしました。

機内食サービス

ランチは和食食事は、やや睡眠不足な上に若干の飛行機酔いの兆候が見られたので、あっさりしていそうな和食を選択。今後、ちゃんとした和食を食べられる機会は少なそうなので、食べられるうちに食べておこうかという意図もありました。今回のテーマは「日本の冬の味」。機上で河豚刺やてっちりなどがコースで楽しめるとのことで、実は僕の和食経験値が足りていないだけなのではないかと軽く自分に突っ込んでみたものの、これに関してはかなり美味しかったです。やや薄味なのも僕の好み。一緒に味わった日本酒も全くアルコール臭がなく、刺身との相性がバッチリでした。

それにしても、こんな状況でも日本を去るという気がしなかったのは、JALという完全な日本的空間にいたからなのでしょう。僕の知り合いには、海外出張の際には必ず日系外のキャリアを使って、機内から海外に赴く気分を高めると言っている方がいますが、確かに、周りが完全に日本人で固められていると、そこはまだ日本なわけですよ。ちなみに、CAのみなさんはベテランさんで固められていて、8人の乗客のために3人対応という構成。ちょっと声をかければこちらが恐縮してしまうくらいに丁寧に対応していただけました。経営など、いろいろと負の側面ばかりが目に付く最近のJALですが、少なくともトップレベルでのサービスはやはりトップレベルなんだなということを実感することができました。

そして到着

およそ7時間のフライトでスワンナプーム国際空港に到着です。到着した途端にまるで軽いサウナの中のような蒸し暑さ。一応、季節の上では冬らしいのですが、日本の夏よりも絶対に暑いですよ。そして空港からは宿までそのままバスで直行。タクシーの中から眺める異国の地の風景に、僕はようやく海外に来てしまったのだという実感が湧いてきたのです。

Entry Info

早朝5時、誰もいないパークハイアットのロビー。大きな荷物を抱えて空港行きのバスを待っていても、今から夢の世界一周旅行に旅立つなんてまるで実感がわきません。夜明け前の暗闇の中、ただ「またね」と言い残して、バスに乗るだけ。これから遠くの国に出かけるという事実は理解しているのに、まるで明日の約束でもしたかのような簡潔な別れ。

どうにも、僕はオーストラリアでの留学中に別れという概念が少し崩れてしまったような気がします。語学学校に通っていたおよそ一年間、あの頃は毎週のように誰かのフェアウェルパーティーがあり、「さようなら」「また会おうね」「連絡取り合おうね」そういった会話が常に繰り広げられ、涙を流したことも少なくありません。ただ、いつのころからか、その行為が日常になり、情動的になることも段々と減ってきました。

航空技術が発達した現代では、時間的な距離は驚くほどに小さいです。50年前はほんとに限られた人しか行けなかった海外旅行も、今ならば誰でも24時間以内に世界中の主要都市に飛べる時代。その気になればいつだって会いたい人のもとへと訪れることができます。しかも、facebookやskype、メールなどを代表するインターネット関連のツールを使えば、連絡を取り合うだけならばほぼノーコスト。精神的な距離に関してはどんなに物理的な距離があったとしても自分自身でコントロール可能なはずです。

出会いと別れは表裏一体。想い続けていればいれば、いつかまた必ず再会できるということを知ってしまった僕には、寂しさと不安からこぼれ落ちる涙はもう出てこないのかもしれません。少しだけ名残惜しそうに、明け方の東京を眺める僕を乗せて、バスは首都高を抜けて成田空港へと向かって行きました。このときの、僕の頭の中のBGMはMr.Childrenの天頂バス。星になれたらも好きなのですが、やっぱりこの歌が一番僕の旅立ちにしっくりきます。

そろそろ時間だ
急いで鞄に詰めよう
隅から隅まで未来を書きためたネタ帳 A.B.C
天国行きのバスで行こうよ
揺れるぞ 地に足を着けろ
己の直感と交わした約束を
果たすまできっと僕に
終点などねぇぞぉ

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